「ひかりTV」を運営するNTTぷららは10月21日、2013年下期の事業戦略説明会を開催した。2014年2月に予定している4Kトライアルのデモ映像を初めて公開したほか、Android搭載STBの新機能となるDLNA/DTCP-IPによるリアルタイムの放送転送、そしてモバイル端末向けVODの“持ち出し”機能など、多くの機能拡充や新サービスを紹介した。
あいさつに立った板東浩二社長はまず、ひかりTVの会員数が9月末時点で263万件に達したことを報告。平均すると1カ月に3万人という増加ペースで順調に推移しているという。「以前に比べると若干スローダウンしているが、これはNTT東西の光加入者の伸び率が下がっているため。今後はPC、スマホユーザーの取り込みが重要だと考えている」(同氏)。
ひかりTVでは、IP放送の「テレビサービス」とIP-VODの「ビデオサービス」を中心に、カラオケやクラウドゲーム、聴き放題の音楽配信など多岐に渡るサービスを展開している。このうちテレビサービスは94チャンネル(東京の場合)のうち、85%がHD画質になった。
一方、約3万本のタイトルをそろえるビデオサービスも好調で、「この半年間、VODの視聴数が順調に伸びた。とくに8月は見放題対象作品で2600万回と過去最高の数字を記録している」。その理由については、夏休みだったことに加え、アニメ「進撃の巨人」やドラマ「半沢直樹」といった強力なコンテンツの存在を挙げた。
中でも「進撃の巨人」は地上波で限られた局しか放送しておらず、Twitterで「ひかりTVで見た。入っていて良かった」などと口コミが広がったという。「多いときには1週間で40万回再生を記録し、見放題プランに加入していない人でも個別に料金を支払って視聴するなど、需要の高さが際立った。“見逃し視聴”はビジネスになる」(板東氏)。
今後の事業展開に関しては、「マルチデバイスの利用促進」と「コンテンツ拡充」が2本柱となる。同社は6月3日からAndroid搭載の新チューナー「ST-3200」を提供し、7月31日からはPC向けのサービスを開始するなどマルチデバイス化を推進している同社だが、今後も各サービスで積極的に取り組む。
例えばテレビサービスでは、11月にAndroid搭載チューナー「ST-3200」のファームウェアアップグレードを行い、DLNA/DTCP-IPでリアルタイムの放送番組を転送できるようにする(録画済み番組は対応済み)。テレビやPCはもちろん、スマートフォンやタブレットでも「DiXiM」や「Twonky Beam」といったDLNAアプリで視聴できる。HDMI接続のテレビ画面でひかりTVを視聴しながら、同時に2ストリームの配信が可能だという。
また、現在モバイル端末向けに提供しているVODコンテンツ(約7000本)については、2014年1月からスマートフォンやタブレットでオフライン視聴を可能にする「ダウンロード視聴」機能を提供する。
対応端末は、Android 2.3以降およびiOS 5以降。ひかりTVアプリのタイトル情報画面に「ダウンロード」ボタンが追加され、タップすると1280×720ピクセル/30フレームのファイルがローカルストレージに保存される。フォーマットはAVCで、ビットレートは上限2Mbpsという。
「現在のモバイル端末向けストリーミングサービスは、ビットレートの上限が1Mbpsで、フレームレートは回線状況によって異なる。ダウンロード視聴であれば、より高画質な映像をオフラインで楽しめる。追加料金は不要だ」(同社)。
なお、サービス開始当初の対応コンテンツは、権利処理の都合で全体の7割程度になる見込み。まずは「見放題プラン」で視聴できるコンテンツからスタートし、年度内をメドに「オプションビデオ」に含まれるタイトルを追加する計画だ。
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