続いてBAドライバー2基搭載の「ATH-IM02」を試聴。こちらは雰囲気がガラッと変わって、芯のある力強い中低域によって、臨場感のあるエネルギッシュなサウンドを楽しませてくれる。とくにロックやポップス系との相性が良く、ベースラインがタイトでキレの良い、グルーブ感の高い演奏を堪能させてくれる。グイグイと演奏にのめり込んでいけるため、ライブ音源などにもピッタリ。なかなかに音楽性の高いサウンドだ。
「どこかで聴いたことあるなぁ」と思ったら、「ATH-CK90PROMK2」のサウンドにそっくり。これを正常進化させ、解像度感やSNなどの基本スペックをベースアップさせたイメージだ。音色傾向としてもストレートでリアルな表現はそのまま受け継いでいるため、「ATH-CK90PROMK2」オーナーも大いに気に入ることだろう。
3基のBAドライバーを搭載する「ATH-IM03」は、一言で言うと深みのあるダイナミックな表現が特長。高域はBAドライバーらしく鋭く立ち上がり、低域も十分な解像度感が確保された上に、充実した量感を持つ。おかげで、音楽が雄大に、抑揚豊かに聴こえる。フルオーケストラなどを聴いても、すべての楽器が詳細なニュアンスまで捉えられ、絶妙なアンサンブルが感じられる。音数の多い演奏も苦手としない、素晴らしい解像度感だ。
事実上の先代となる「ATH-CK100PRO」とは、キャラクター的には近いものがあるが、さらに一段クオリティーアップしたイメージ。また、ボディーの素材の違いだろう、高域がよりナチュラルになった。モニター用としてだけでなく、リスニング用としても楽しめる懐の深さを持つようになった、といえる。
最後の「ATH-IM04」は、オーディオテクニカとしては初となる、BAドライバーを4基搭載した3Wayモデル。全くのブランニューモデルだ。はたしてそのサウンドはというと、整然として淡々としていて、フラットできめ細やかなイメージ。抑揚表現はとてもきめ細かく、解像度感も超をつけたくなるほど高い。演奏のすべての要素が、漏らさず伝わってきてくれる。何とも上質なサウンドだ。
一聴するとおとなしく聞こえてしまうかもしれないが、音楽をありのまま、ストレートに伝えてくれるという点ではかなりのもの。そういったキャラクターは、カナル型イヤフォンというよりもカスタムIEMに近い。モニターイヤフォンとしては、かなりの優秀さだ。
とはいえ、音楽性に乏しいというわけではない。ひずみ感やオーバーな表現、低域の“盛り”がいっさいないため、音楽作品本来の素晴らしさを存分に楽しむことができる。音質の悪い録音は、それが如実にばれてしまうが、それはそれで望むところ。下手なカスタムIEMは不要と思えるくらい、なかなかの秀作だ。
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