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ついに「オーディオファンの視点で開発したNAS」が登場――バッファローが新ブランド“DELA”を立ち上げ(1/2 ページ)

» 2014年02月21日 22時46分 公開
[ITmedia]

 バッファローは2月21日、ハイレゾオーディオ向けの新ブランド「DELA」(デラ)を立ち上げ、第1弾としてNAS(Network Attached Storage)2製品とLANケーブルを発表した。上位機の「N1Z」は実売で70万円台半ばから80万円弱と家庭用としてかなり高価だが、「世界で初めて、NASメーカーによってオーディオ機器として開発されたNAS」(バッファローのBBD事業課オーディオ係シニアプロファクトプロデューサーの荒木甲和氏)という。

「DELA」のNASは、合計1TバイトのSSDを搭載した「N1Z」と2TバイトHDDを内蔵した「N1A」の2機種。外観はハイエンドのネットワークプレーヤーと並べてもひけをとらないデザインだ

 同社は昨年5月、DSD(Direct Stream Digital)をDLNA仕様に準拠した方式で配信できるNASを発売するなど、ネットワークオーディオ向けの製品に力を入れてきた。しかし、「これまでのNASはあくまでビジネス向けの製品からの転用だった。オーディオには、ファンの視点で作られた専用のNASが必要だ」(荒木氏)。

 DELAのコンセプトは、オーディオ信号の伝送品質にこだわること。さらにオーディオルームにふさわしい外観、オーディオアクセサリーとしての使い勝手を持っていること。この3点を目指して最初から開発したという。

 上位機の「N1Z」は500GバイトのSSDを2台搭載しているが、このSSDはグループ会社のバッファローメモリと共同で開発したオーディオ専用品だ。「SSDは、通常の動きなら問題はないが、裏で内部処理が始まるとストリームの送出に“波”が起きてしまう」(バッファロー、N1開発プロジェクトリーダーの山田祐輝氏)。これが音質面でSSDの評価が低い要因だという。

「N1Z」のSSDはオーディオ用に開発した専用品(左)。N1開発プロジェクトリーダーの山田祐輝氏(右)

 そこでバッファローは、まずSSD内にバックアップ電源を持たせて消費電力を安定化。またリード/ライトスペックはオーディオストリームデータの読み出しに最適化した。「オーディオデータ送出時は変化を抑え、読み出し動作を一定にする必要がある」(山田氏)。一方の「N1A」には2つの3.5インチHDDが搭載されているが、これも多くの製品を実際に試し、読み書き時の“カリカリ音”が耳につかない東芝製HDDを採用したという。

「N1A」の内部(左)。オーディオルームに置いても違和感のないデザイン(中、右)

 筐体(きょうたい)はアルミ製で、ハイエンドオーディオ製品と同じ左右対称構造。共振を抑えるため、天版と側板の厚さを変えたほか(7ミリと5ミリ)、各パネルの接合部も0.3ミリのすき間を作ることで振動の伝達を排除する。もちろんファンレス構造だ。

 電源は2つ搭載し、さらにN1Zには大容量のキャパシターも使って供給電力を平滑化する。「通常のNASでは、HDDやLANポートが共通の電源を使用する。今回はそれぞれの影響を排除するため、完全に分離した」。

 品質管理を徹底するため、製造はすべて国内で行う。工場には専用ラインを設け、熟練した認定製造者しか作業はできない。“定盤”と呼ばれる平滑な作業台は安定性のために大きな石で作ったもの。その上で認定製造者1台1台、手作業で組み立てるのだという。

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