消費税が8%に上がる前に、ちょいと値の張る欲しいモノを入手しておこうとお考えになる方はやはり多いようで、2月、3月は不動産やクルマ、高級オーディオ機器など高額商品の売り上げが好調に推移しているようだ。
かくいう筆者も、この2月以降どうしても欲しかった高級AV機器を2モデル手に入れた。ソニーの4Kプロジェクター「VPL-VW500ES」とパイオニアのAVアンプ「SC-LX87」である。そんなわけで今回は、この2機種の自宅インプレッション・リポートをお届けしたいと思う。
2011年に発売されたソニー「VPL-VW1000ES」の画質はすごかった。初の4Kリアル表示パネルを採用した家庭用モデルということにまず注目が集まったが、その高解像度ポテンシャルよりも何よりもぼくが感心したのは、オールガラス構成のゴージャスな投写レンズを採用して達成した、その安定感と深みのある映像の訴求力だった。あまり画質がよくないナ……と思っていたBlu-ray DiscやDVDでさえも、説得力十分の見事な画質で楽しませてくれたのである。
160万円を超える値段には確かにひるんだが、その画質には価格以上の価値があると感じられ、なんとか入手しようと考えた。しかし、導入を巡る大きな問題に1つ気づいた。「VPL-VW1000ES」は後面排気設計で、筐体(きょうたい)サイズが、設置する予定のぼくの部屋の棚の奥行きとほぼ同じだったのである。この棚に「VPL-VW1000ES」を設置すると、適切な放熱効果が得られず動作不良が起きるのは必至、かといって棚の造作をいじるのはオオゴトだし……とアタマを抱えたのである。そうこうするうちに「VPL-VW1000ES」の弟モデルの噂が聞こえはじめ、とりあえずその詳細が明らかになるのを待つことにした。
そして昨年秋に発表された「VPL-VW500ES」は、奥行きが460ミリに短縮され(VPL-VW1000ES は640ミリ)、前面排気設計に変更されていることが分かった。これならわが家の棚に問題なく置ける! ということで自室への導入を考え始めたわけだが、問題は画質だ。「VPL-VW500ES」に採用されたSXRD表示パネルは「VPL-VW1000ES」とまったく同じものだが、「VPL-VW500ES」は「VPL-VW1000ES」の約半額。いちばんコストのかかる光学系がガラスレンズとプラスチックレンズの併用となり(VW1000ESはオールガラス構成)、フォーカス性能の劣化が心配された。しかし、実際に試作機の画質をチェックし、150インチ以上の超大画面ならば明確な差は出そうだけれど、わが家のスクリーン・サイズ=110インチならば、「VPL-VW1000ES」と比べて大きくフォーカス感で劣るということはないのでは? という感触を得たのだった。
それよりも、試作機を見て心配したのは色再現とホワイトバランス。「VPL-VW500ES」は265ワットの高圧水銀ランプを用いて1700ルーメンの最大光出力を得るという明るさ優先の画質設計が採られており、その設計思想の下、「VPL-VW1000ES」に採用されていたDCI(デジタルシネマの技術標準化組織)色域までカバーするカラーフィルターの搭載が見送られている。そんなことも理由の1つなのだろうか、「VPL-VW500ES」の試作機の画質は、ホワイトバランスが緑がかり、赤の発色なども「VPL-VW1000ES」に比べると、やや単調という印象だったのである。
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