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増税前の駆け込み推奨モデル! ソニー「VPL-VW500ES」とパイオニア「SC-LX87」の自腹インプレッション山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/3 ページ)

» 2014年03月24日 09時45分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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 しかし、実際にわが家に届いた「VPL-VW500ES」は、ホワイトバランス、色再現性ともに試作モデルから大きく改善されており、製品化ぎりぎりまで画質を追い込んだ同社技術開発陣のがんばりが見事な映像に結実していることが実感でき、大いに満足した次第だ。

「華麗なるギャツビー ブルーレイ&DVDセット(2枚組)」は、3980円で販売中。販売元はワーナー・ホーム・ビデオ。TM&(c)2013 Warner Bros.Entertainment Inc.All rights reserved.

 さて、4Kワークフロー(マスタリング)が定常化してきた昨今の映画Blu-ray Discの画質のよさ、安定感には驚かされることが多い。最近観たタイトルの中では、「華麗なるギャツビー」「オブリビオン」「アフターアース」、小津安二郎監督の「彼岸花」(これは4Kスキャン/2Kワークフロー)などの画質のよさに感心したが、「VPL-VW500ES」の映像モードのうち「シネマフィルム2」が、これら高画質Blu-ray Discとの相性がことのほかよい印象だ。ガンマカーブが精妙に設定されており、映画ならではの香気、テクスチャーを大切にしながら、ていねいにマスタリングされた映画コンテンツならではの超高解像度映像の魅力が堪能できる。一方、音楽ライブ作品などは、モニター調に仕上げられた映像モード「リファレンス」が好ましい。

 ここ数日は、本連載でも採り上げたパナソニックのBlu-ray Discレコーダー「DMR-BZT9600」と脳科学の研究成果を盛り込んだというダービー回路を仕込んだ米OPPOの「BDP-105DJP」両モデルとHDMI接続し、その持ち味の違いを精査して楽しんでいる。上記のような高画質映画Blu-ray Disc再生時にもっとも好ましく思えるのは、「DMR-BZT9600」の再生モードの「ディスプレイ」を「プロジェクター」に、「映像素材」を「ハイレゾシネマ」にして1080/24p出力し、「VPL-VW500ES」の「リアリティクリエーション」をオンにする設定。ノイズの粒子も極小で、切れ味抜群の高精細映像が楽しめ、思わずうっとりとその画質を見つめている今日この頃だ。

見かけは同じ、中身は別物――パイオニア「SC-LX87」

 ここ数年、ぼくはパイオニア製AVアンプを使い継いできたが、2月下旬に「SC-LX86」から最新トップエンド・モデルの「SC-LX87」に乗り替えた。何度か本機をテストする機会を得て、その音質向上ぶりに感心してのリプレースだ。

パイオニア「SC-LX87」

 「SC-LX86」と「SC-LX87」の見た目はウリふたつだが、中身は大きく変わっている。音質面で決定的に異なる要因と思えるのが、DACチップの変更だ。「SC-LX86」のAKM (旭化成)製デルタ・シグマ型から、昨今音のよさで話題のESS Technologiesの32bitタイプ「SABRE3ウルトラDAC」に変更されたのである。同社エンジニアによると、AKM製DACに比べてSABRE3ウルトラDAC は、S/N比で約15dB、ジッターレベルで約10dB優れるという。そんなDACチップの素性の良さを生かしながら、ていねいに作り込んだ成果が見事にその音に結実していることを導入以来、日々実感している。

 また、IR製ダイレクトパワーMOS-FETを用いたクラスDアンプ(デジタルアンプ)は3世代目となり、その音質の熟成具合が進んだこともその高音質の理由の1つだろう。デバイスもより高品質なものがおごられ、「SC-LX86」以上のしなやかで力感あふれるサウンドが楽しめるようになった印象だ。

DAC基板(左)とダイレクト・パワーMOS-FETを用いたクラスDアンプ部(右)

 つい最近入手した米国盤Blu-ray Disc「ゼロ・グラビティ」(原題:GRAVITY )のDTS-HD MA 5.1ch音声を再生して、本機の表現力のすばらしさに脱帽した。先日発表された第86回アカデミー賞で「音響編集賞」と「録音賞」を獲った本作は、最新映画音響の頂点とも思えるワイドレンジでダイナミックなサウンドが楽しめる作品で、このBDにもその魅力が確実に受け継がれている。

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