JVCケンウッドが発表したUSB-DAC機能搭載のポータブルヘッドフォンアンプ「SU-AX7」。昨年秋から「ヘッドフォン祭」などのオーディオ系イベントにも何度か出品されていたため、気になっていた人も多いのではないだろうか。
当初予定より半年近く遅れたが、5月下旬に発売されることが正式に発表された。この製品のいくつかのポイントについて、開発を担当したJVCケンウッドの堀田信之氏に聞いた。
アルミ製のケースは濃いめのブラウンで塗装され、シックな印象を醸し出す“大人向け”のデザイン。とくに同社のイヤフォン「ウッドシリーズ」との相性は良好だ。
SU-AX7では、アルミケース内にもう1つシャーシを設けて回路基板を保持する「フローティング構造」で制振性を高めている。シャーシを固定するのは最小限のネジだけ。さらにシャーシの上面に「fホール」と呼ばれる穴を設けてシャーシに伝わる振動を調整した。
堀田氏によると、最初は単純な穴だったが、振動解析とシミュレーションによる検討の末、“f字”の形状に行き着いたのだという。「バイオリンにある“f字孔”に近い形です。実は、fホールは、もともとケンウッドの単品アンプやポータブルプレイヤーで採用していたもの。両ブランドの技術の融合という意味も込めて“fホール”を採用しました」(堀田氏)。
ただし、ケンウッド製品のfホールとは若干形が異なる。「最新の計測技術で改めて振動解析を行ったところ、直線よりも曲線といった具合に、より制振性が高くなる条件がいくつか分かってきました。それを組み合わせ、この形に行き着いたのです」。
「SU-AX7」はPCとUSB接続(micro B端子)して最大192kHz/24bitのハイレゾ再生が行える。また光デジタル入力を備えているため、対応するポータブルプレイヤーからもハイレゾ音声を受け取ることができる(仕様は96kHzまで)。
音質を決める重要な要素であるDACチップはAKM製の「AK4390」だ。国内ではあまり知られていないが、「クセがなく、緻密(ちみつ)で滑らかな音。自然に広がる空間表現でハイレゾソースの持つ空気感をしっかりと再現できる」という。「DACの選考では開発関係者が集まり、多数のチップを比較試聴しました。そして最終的に“満場一致”でAK4390に決まりました」(同氏)。
なお、DSD対応について聞いてみたところ、「今後の製品で検討していきたいです。ただし、音質に見合うデバイスが出てくることが必要があります」と話していた。
前面パネルにヘッドフォン出力のほか、PCとのUSB接続や充電に使用するMicroUSB、そしてiOSデバイスをデジタル接続できるUSB A端子を装備。「モバイル時に使用頻度の高い端子を前面に配置しているので、鞄の中やポケットに入れたまま(前面が上の状態)でも使いやすい」。一方、前述のと光デジタル入力は背面に配置された。自宅で据え置き型プレーヤーなどと接続する際にケーブル類が前に出てこないようにするためだ。
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