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4K放送も視野に――東芝レグザ「58Z9X」が見せた熟成の4K画質山本浩司の「アレを見るならぜひコレで!」(2/3 ページ)

» 2014年05月22日 15時38分 公開
[ITmedia]
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 そこで東芝技術陣は、同社総合研究所が開発した業務用カメラを用いて光学測定した色の学習テーブルを参照しながら、64軸の色相に明度と彩度を掛け合わせた6144ポイントの3次元色空間座標において、すべての色の物体色の限界を考慮した広色域復元データベースを構築していったのである。

 昨秋のZ8シリーズから導入されたこの最明色コンセプト、あまり世間の注目を浴びていないようだが、これからのテレビの色の見せ方を考えるうえで実に重要な提案になるのではないかと思う。Z9Xではすべての映像モードの設定にこの最明色コンセプトに基づく広色域復元データベースが活用されている。つまり店頭用の「あざやか」モードにおいても、不自然な派手な色になることのないように注意深く画質設定されているわけである。こういうところに東芝という会社の奥深さ、レグザの成熟を実感してしまうのは筆者だけだろうか。

 Z9Xを使用する際、部屋の照度や内装色、再生コンテンツに応じて画質を最適化してくれる「おまかせ」モードを用いることをまずお勧めするが、もっと高画質を追求したいという欲張りなユーザーに向けて、さまざまな映像モードが用意されているのはいうまでもない。とくに興味深いのは、映像のプロがスタジオで使うマスターモニター画質を目指した「モニターD93」「モニターD65」モードが新設されたことだろう。前者はテレビ素材向け、後者は映画素材向けにチューニングされた、とびきり素直なマスター画質である。

新設された「4Kネイティブ」モード

 また、レグザ独自のコンテンツモードもより細分化された。とくに4Kマスタリングされた最新映画Blu-ray Disc向けの「4KマスターBD」に加えて「4Kネイティブ」モードが加わったことに注目したい。これはもちろん来るべき4K放送に合わせて設定されたモードで、この 6月から始まる4K試験放送でぜひその画質を精査してみたいと思う。

フル12bit信号処理の「ピュアダイレクトモード」

 58V型の「58Z9X」の画質をじっくりチェックしてみたので、そのインプレッションをお伝えしよう。

58V型の「58Z9X」

 メタルフレームの幅を上下左右すべて15ミリの細さに統一した、そのすっきりとしたアピアランスがまず好ましい。世界でいちばん厳しいというヨーロッパの転倒防止基準に合わせてコの字に組んだ2本脚スタンドも、以前の1本脚スタンドに比べて格段に視覚的安定感がある。

スタンド部にケーブルを通すことで、すっきりしたデザインを壊さない

 まず内蔵チューナーによる地デジの放送画質を「おまかせ」モードで確認してみた。ナチュラルな色再現とコントラストの鮮やかさとともにおっと思わせるのが、じつにすっきりとした輪郭描写だ。とくにテロップの周囲に生じがちなジラジラしたノイズがほとんど目立たないところに注目したい。入力信号のエッジ部と平坦部の特徴を検出し、とくに地デジで目立ちがちなブロックノイズやモスキートノイズを効果的に除去するとともに、エリアごとに超解像処理を加えて鮮明さを向上させる新しい手法が盛り込まれたことが効いているのだろう。

コンテンツモードを「4KマスターBD」に設定

 部屋を暗くし、映像メニューから「映画プロ」を選び、コンテンツモードを「4KマスターBD」に設定し、昨今重用している高画質映画BDをいくつか観賞してみたが、その画質が実にすばらしかった。

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