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プラズマを超えたのか?――パナソニックの4Kテレビ「TH-65AX800」が見せたスキントーンの妙山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

» 2014年06月23日 17時38分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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 6月2日より124/128度CSデジタルの「スカパー!」502 チャンネルを用いた4K/60p試験放送が始まった。その「チャンネル4K」チューナーを内蔵したHDDレコーダーのシャープ「TU-UD1000」で録画した4Kコンテンツを何台かの最新4Kテレビで観てみたが、ふだん見慣れたハイビジョン放送とは一味も二味も異なる超高精細映像が楽しむことができ、4Kテレビの存在意義がいっそう堅固なものになったことを改めて実感させられた。

「チャンネル4K」対応のシャープ製HDDレコーダー「TU-UD1000」と4Kテレビの「UD20シリーズ」

 とくに最新のソニー製4Kカメラで収録された「THE 世界遺産4K」やロングの固定カメラ撮影を基本とするコンサート・ライヴや舞台中継などの映像の生々しさは半端ではなく、あたかも現場に居合わせたかのような臨場感が味わえ、その魅力に心を奪われた。もっともまだ試験放送ということもあり、暗い舞台でのノイズのざわつきや、すばやく動く被写体の周りにモスキートノイズが目立ったりという瑕疵(かし)はあるが、そのへんの課題は試験放送を日々続けることでHEVCエンコーダーが改良され、少しずつ解決していくのではないかと思う。

「Channel4K」放送開始時に表示されたロゴ(左)とTBSテレビ制作の「THE 世界遺産4K」(右)

 まずは当初の予想ははるかに上回る高画質で、ネイティブ4K高精細映像が家庭で楽しめるようになったことを喜びたい。これで気になる洋画や好きなアーティストのライヴなどが放送されるようになったら、是が非でもチャンネル4K受信に取り組まなければと考えている。

プラズマを超える液晶テレビを目指したパナソニック

 さて話は突然変わるが、筆者は2008年に発売されたパイオニア最後の「KURO」、50V型HDモニターの「KRP-500M」を今なお自室で使っている。4K試験放送などで超高解像度映像の魅力を見せつけるこの春夏モデルの4K液晶テレビの出来のよさを目の当たりにし、そろそろ引退させる時期かナという思いが強くなってはいるが、一方でパイオニアが最後に到達したプラズマ画質に、すべての画質ファクターで上回る大画面液晶テレビはいまだ存在しないという思いが消えないのも事実だ。

 とくに暗室環境におけるコントラスト表現と色再現、視野角の広さなど、つまり自発光タイプならではの画質面の魅力はかけがえのないものというのが長年プラズマ機を使ってきた筆者の実感。プラズマテレビが市場から完全に退場してしまった現在、4K高解像度を実現した大画面液晶テレビは、自発光ディスプレイが本来的に有しているそれらの資質をキャッチアップしていくことが急務だろうと思う。家庭用テレビとしての開発が予想以上に難航している自発光ディスプレイ、OLED(有機EL)の現状を鑑みると、その思いはなおさらだ。

パナソニック“ビエラ”の65V型「TH-65AX800」

 プラズマの牙城を守り続けてきたパナソニックは、この春夏の4Kモデル「AX800シリーズ」の開発において、最後のプラズマテレビであるフルHD機「VT60シリーズ」の画質にすべてのファクターで追いつき追い越せをテーマに掲げたという。VT60に対してすでに 4倍の解像度を実現させているわけだから、後はコントラストや階調表現、S/N (ノイズの処理)、動画解像度、色再現、視野角などをいかに向上させるか、ということになる。

 昨年の同社製4K液晶テレビ「WT600シリーズ」は、その観点からいうと個人的にはかなり物足りなかった。4K高解像度の魅力には納得させられたが、コントラストと階調表現、色再現についてはVT60が達成したレベルに遠く及ばないという印象だったのである。

 では今回のAX800はどうか。実際に65V型の「TH-65AX800」の画質をチェックしたところ、WT600から大きく前進し、かなり多くの画質ファクターで最後のプラズマ「VT60シリーズ」を彷彿させるリッチ・テイストを身につけたことが実感できた。とくによいと思ったのが、映像モード「シネマ」で観る色のリッチネス、ホワイトバランスの安定感、スキントーンの美しさ、そして暗部階調の精妙さだ。

 昨シーズンのWT600は、深い赤が朱色に寄ったり、肌色が緑がかる傾向があり、そこが本シリーズを強く推せない理由だったのだが、AX800はそのへんが大きく改善されているのだ。

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