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プラズマを超えたのか?――パナソニックの4Kテレビ「TH-65AX800」が見せたスキントーンの妙山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)

» 2014年06月23日 17時38分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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BD「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」。価格は3980円(販売はワーナー・ホーム・ビデオ)(c)Warner Bros.Entertainment Inc.

 4Kカメラ収録の高画質映画Blu-ray Disc「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」をTH-65AX800の「シネマ」モードで観てみたが、主人公の少年が着る真紅の上着はハッとさせられるほど生々しいし、次々に登場する白人女性や黒人女性の肌色の描写もきわめてリアル。確かにプラズマライクな発色であり、スキントーンなのである。

 同社技術陣によると、LED光源の素材選定とカラーフィルターの改善により広色域化を実現したとのことだが、加えて「ヘキサクロマドライブ」という新たな色補正技術を導入して、色再現の最適化を図ったという。ヘキサはギリシア語で6を意味する。AX800では、RGB (レッド・グリーン・ブルー)の3原色に加えてその補色であるCMY (シアン・マゼンタ・イエロー)を加えた6軸色座標補正を採用したというわけだ。

 ただし、この6軸色座標補正はそれほど珍しい技術ではなく、以前からこの手法を採っているテレビメーカーは存在するし、パナソニックもプラズマテレビで同様の補正技術を導入していたはず。同社技術陣に話を訊くと、AX800で採用されたのは単純な6軸色座標補正ではなく、軸と軸の間の中間色にも補正をかけているそうで、座標軸の平面処理だけでなく、輝度方向を加えた3次元カラーマネージメント調整を行っているとのこと。

 この画像処理手法を使いこなすことで、先述した色合いの豊富さ(とくに赤がすばらしい)やスキントーンの絶妙な中立性を実現しているわけで、まずは同社技術陣の絵づくりの上手さに拍手を送りたいと思う。

 また、TH-65AX800の画質をチェックしてもう1つ感心したのが、暗部階調の表現力だった。WT600シリーズは暗部で色相が回って見えたり、階調が粘らずストンと黒に落ちる傾向があったが、TH-65AX800の「シネマ」モードは暗部の色づきもきわめて少なく、階調表現においても独得の精妙さを見せるのである。

「インサイド・ルーウィン・デイヴィス〜名もなき男の歌」公式サイト。国内では、TOHOシネマズ シャンテほかで現在公開中

 とくにすばらしかったのが、米国盤映画BD「インサイド・ルーウィン・デイヴィス〜名もなき男の歌」だった。冒頭のコーヒーハウスで主人公のルーウィン・デイヴィスが歌うシーンでは、絶妙なライティングで人物像の陰影をみごとに演出したこの映画の魅力をくっきりと浮き彫りにし、その階調表現力に過去の同社製プラズマテレビ同様の魅力を発見した。

 もっとも左右エッジライト方式の本機の漆黒の表現力は十分とはいえず、直下型バックライトを採用してきめ細かなローカルディミングを行っているソニー「X9500Bシリーズ」や東芝「Z9Xシリーズ」の後塵を拝しているのも事実だろう。ただしそれは暗室環境でシビアに観た場合に、というただし書きが必要かもしれず、オーバーオールの画質性能が昨年のWT600を大きく上回ったことは断言できる。

 AX800シリーズの機能面での最大の特長は、「マイチャンネル」といことになるだろう。これは検索語からテレビのEPG やYouTub動画などから推薦コンテンツをし横断的に探し出してサムネイル付きで一覧表示してくれる機能。HDMI接続した同社の“全録ディーガ”「DMR-BXT970」「DMR-BXT870」のHDD内コンテンツの探索も可能だ。これだけ多くの番組が溢れ出している今、「自分が観るべき番組」を探し出して見せてくれたり録画予約してくれるこのコンシェルジェ的「 マイチャンネル」は、まさに時宜を得た有益な機能といっていいだろう。

「マイチャンネル」機能

 付属の「音声タッチパッド・リモコン」を使っての音声検索も可能。実際に使ってみてその完成度もきわめて高いと思ったが、自分の部屋でリモコンに向かって、何かしゃべるということに筆者はどうしても抵抗がある、というか照れくさい。若い人は全然平気なんですかね?

AX800シリーズには通常のリモコンと「音声タッチパッド・リモコン」の2種類が付属する

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