最近、テレビや一般誌でも取り上げられるようになった“ハイレゾ”。オーディオファンには既におなじみだろうが、高解像度を示す“ハイレゾリューション”と呼ばれる高音質の音源ファイルや、それを再生するためのオーディオ機器を指す。最近では各種業界団体からハイレゾの定義も示され、市場の盛り上がりも期待される。最新動向について、AV評論家の麻倉怜士氏に解説していただこう。
麻倉氏: 最近の動きとして、いくつかの業界団体が“ハイレゾ”の定義を公表したことがあります。まずJEITAが「ハイレゾオーディオ」という呼称を定義しました。次に米国のDEG(The Digital Entertainment Group)およびCEA(Consumer Electronics Association)がハイレゾ音源の種類を区分けしています。そして直近では日本オーディオ協会がハイレゾ対応機器の条件とロゴマークを公開しています。
いずれも、従来は曖昧(あいまい)で主観的であり、関係者が一方的に主張していた“ハイレゾ”の定義が固まってきたということで、今後は製品の広報や宣伝にロゴマークが使われることになるでしょう。48kHzあたりの音源がどう扱われるかが焦点ですね。
1)、上記JEITA公告(25JEITA‐CP第42号)を原則踏襲し、「ハイレゾ」対応の機器について「付帯項目」として定義
2)、録音および再生機器並びに伝送系において以下の性能が保証されていること
アナログ系
デジタル系
3)、生産もしくは販売責任において聴感評価が確実に行われていること
――日本オーディオ協会の基準ですと、例えば48kHz/24bitの“CDマスター”品質を十分に再生できる能力があってもハイレゾ対応機器ではないことになってしまいます。ここまでハードルを上げておきながら、最後は“聴感評価で判断していい”というのもよく分かりません。
麻倉氏: そうですね。確かに個々の定義をつめていくと、そんな問題も出てきます。しかし私個人としては、「どうでもいい」と考えています。ハイレゾをトラックの荷台の大きさ(が大きくなった)と考えると、問題はそこに何を積むかです。新鮮でおいしい食品を積むのか、そうではないものを積むのか。CDでもハイレゾ的な素晴らしい音が出ることもありますし、逆に荷台は大きくても中身がプアなケースもあります。「これがハイレゾか?」というものもあります。ユーザー視点で言うと、ハイレゾが定義されたことにより、どれだけ良いコンテンツが届けられるようになるかが課題です。
――そう考えると、DEG/CEAのマスター区分けがもっとも消費者目線のような気がします。
麻倉氏: そのコンテンツのほうでも新しい動きが出てきました。いくつか紹介していきましょう。
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