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コラム
» 2014年09月05日 12時41分 公開

IFA 2014:テクニクス復活と「SmartWear」、IFAのトピックから見えてきたソニーとパナソニックの変化 (2/4)

[本田雅一,ITmedia]

 テクニクスのブランド発表会では、かつてテクニクスのスピーカー開発、DVD-Audio開発などに携わった小川理子理事(メジャーレーベルからCDデビューもしているジャズ・ピアノ演奏家でもある)が「音楽の愉しさ、感動を少しでも多く伝えたい」と、演奏家らしい想いを込めて高級オーディオ市場参入のメッセージを語ったが、かつてテクニクス再起動に際しては社内に残っていたオーディオエンジニアが、他部門でのさまざまな経験を経て、再び音楽の愉しさを伝えるために再集結したこその深みがあるように感じられる。テクノロジーを活用することで、より音楽の表情を伝える。そういったエモーショナルな領域に技術を適用することに、パナソニックが回帰しはじめたのだ。

小川理子理事。メジャーレーベルからCDデビューもしているジャズ・ピアノ演奏家でもある
テクニクスの歴史を語ったあと、新製品をお披露目した

 例えば、新生テクニクスのアンプは2つともパルス(デジタル)増幅を採用しているが、この方式にはスピーカーネットワークとの相性によって狙い通りの特性を出せない問題がある。デジタルアンプは出力段にLC構成のローパスフィルターが必要となるが、これがスピーカー内蔵のネットワーク回路(ユニットごとに帯域分割するための回路)と干渉してしまい、位相特性や応答特性に問題が出てしまい、再生する音楽の表情が変化してしまう。

 この現象はアナログアンプでももちろん問題になるが、デジタルアンプではより大きな解決すべきテーマとなっている。パナソニックはこの部分に対して、電気的にスピーカーインピーダンスを補正する回路を内蔵し、周波数ごとに異なる応答特性を補正することでスピーカーとの相性問題を解決した。これはなかなかおもしろいアプローチだ。


 その一方で、「DMR-BZT9600」などで培った物量を投入してのアナログ的な音質チューニングにも取り組んでいる。その成果として聴感上好ましい高音質部品を吟味して採用したり、や巨大な(おそらくデジタルアンプとしては世界最大の)アナログ電源を搭載するなど、最新技術と伝統的な高級オーディオのスタイルを組み合わせた高音質化への取り組みを行っている。

日本でも発売が見込まれる高画質液晶テレビでも独自技術を訴求

 このような動きは、テクニクスブランドだけにとどまらない。

 例えば、「DMR-BZT9600」は国内専売の高品位BDレコーダーだが、実はこの技術も昨今は海外製品にフィードバックされており、低価格化が進む海外BDプレーヤー市場にあって「DMR-BZT9600」のノウハウを投入した高級機「DMP-BDT700」が欧州で発売されるなど動きもある。このプレーヤは筐体(きょうたい)や電源、足回りは「DMR-BZT9600」ほどではないものの、映像処理などはまったく同じ技術を採用している。

4Kテレビや4K対応ビデオカメラ「X1000」など幅広い製品が紹介された

 エモーショナルな部分への訴えかけというテーマを、技術によって達成する姿勢は他カテゴリでも同じだ。例えば年末に向けて欧州で発売(おそらく日本でも)予定のビエラ「AX900シリーズ」は、現行「AX800シリーズ」と同様の5000カ所のマッチングポイントを指定できる3D色空間変換機能による絵作りに加え、より幅広いウィンドウでバックライト輝度の最適値を求める独自アルゴリズムを採用したという。

3Dルックアップテーブル

 ローカルディミングに画質改善は大変に有効な側面もあるが、上手に使いこなさなければハロ(ローカルディミングで暗い背景の中で明るい被写体の周囲が浮き上がって見える現象)の発生が目立ってしまう。どのようにして、ハロを抑えながら効果的にローカルディミングを行うのか。”絵作り”や”頑張って調整する”ではなく、理詰めで追い込んでいくアプローチをパナソニックは盛り込んだという。

効果的なローカルディミングを理詰めで追い込んだ

 その後、会場で簡単に「AX900シリーズ」のチェックしてみたが、確かにローカルディミングの不自然な振る舞いが抑えこまれていた。同じように巧みなローカルディミングを使いこなすメーカーはほかにもあるが、業界トップクラスの実力を持つことは間違いない。

パナソニックブースの4Kテレビコーナー

 このように昨年の簡素なB2B方向しか見えないブースや発表内容とは異なり、部分的にコンシューマーマインドを刺激する製品開発への回帰が感じられたのが、今年のパナソニックによるIFA展示だった。

 では、ふたたび”ソニーならではの価値”を目指して多様な製品に高品位モデルを用意しようと昨年のIFA以来、奮戦してきたソニーはこの1年でどう変化したのだろうか。

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