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テクニクス復活のシンボル――2つのオーディオ製品ラインに投入された3つの技術(1/3 ページ)

» 2014年09月30日 02時16分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パナソニックは9月29日、国内での「Technics」(テクニクス)ブランド復活を宣言するとともに、新生テクニクスのリファレンスモデルとなる「R1シリーズ」、そしてプレミアムラインの「C700シリーズ」を発表した。2015年の2月から順次発売される。

「C700シリーズ」

 東京・赤坂の「サントリーホール」で行われた発表会は、「IFA 2014」のプレスカンファレンスをなぞる形で行われた。最初にジャズの生演奏があり、曲が終わるとピアニストの女性がおもむろに前に出てくる。実は、Technicsブランドの統括ディレクター、小川理子氏という演出だ。

発表会の冒頭はジャズの生演奏。実はピアニストが……

Technicsブランドの統括ディレクター、小川理子(みちこ)氏。CDも出しているプロのピアニストだ(左)。ホームエンタテインメント事業部長の楠見雄規氏(右)

 小川氏を紹介し、ブランド復活を宣言したのは、アプライアンス社の上席副社長でホームエンタテインメント事業部長の楠見雄規氏。「音楽は過去の記憶を呼び覚ますものであると同時に、今の幸せを気づかせ、明日の希望も持たせてくれる。当社には、その使命が与えられているはず。過去のテクニクスから進化した、いや全く新しい“新生テクニクス”の復活を宣言する」(楠見氏)。

製品第1号の「Technics 1」(左)、小川氏も開発に携わったという「SB-AFP1000」(右)

 テクニクスは、1965年の密閉型2Wayスピーカーシステム「Technics 1」に始まり、世界初のダイレクトドライブ方式ターンテーブル「SP-10」(1970年)や、独自のリニアフェーズ理論を実践したスピーカーシステムなど、多くの名機を送り出してきた。2008年のアナログプレーヤー「SL-1200MK6」を最後にホームオーディオ市場から撤退していたが、9月上旬に独ベルリンで開催された「IFA 2014」で復活ののろしを上げ、欧州とともにブランドの人気が高かった国内でも新製品を投入することになった。

 なぜ、今になってテクニクスを復活させたのか。小川氏は、「デジタル時代は、音質よりも利便性、手軽さが重視された。しかしここへ来て、ハイレゾの動きが出てきている。もう一度、高品位のオーディオを世に問う絶好の機会」と話す。もちろん蓄積した技術がなければ高級オーディオへの再参入などかなわないが、実はパナソニック社内では、オーディオ事業撤退が見えていた2007年秋頃からチーフエンジニアの井谷哲也氏を中心とする「非公式集団」(小川氏)が密かに活動し、事業撤退後も高品位な音を作るための技術を研究していたという。数年後、オーディオ事業の見直しを検討し始めたパナソニックは、2013年8月にテクニクスブランド復活を正式なプロジェクトとして立ち上げる。

リファレンスライン「R1シリーズ」


 第1弾商品となる「R1シリーズ」は、リファレンスを目指したハイエンドオーディオシステムだ。ステレオパワーアンプ「SE-R1」(158万円)、ネットワークオーディオプレイヤー兼プリアンプ「SU-R1」(83万8000円)、フロアスタンディング型スピーカー「SB-R1」(134万8000円、1本)の3製品で構成され、セット総額は511万4000円(税別)という高額商品となった。



プレミアムライン「C700シリーズ」


 一方の「C700シリーズ」は、R1シリーズのエッセンスを多分に盛り込んだプレミアムオーディオラインだ。ステレオインテグレーテッドアンプ「SU-C700」(15万8000円)のほか、ネットワークオーディオプレイヤー「ST-C700」、CDプレイヤー「SL-C700」、スピーカーシステム「SB-C700」(15万8000円、2本セット)を用意している。



フルデジタルアンプのデメリットを解消したアンプ

 井谷氏をはじめとする「非公式集団」が密かに継承し、また新たに開発してきた新生テクニクスのテクノロジーは大きく3つに分けられる。デジタルアンプ技術、低ノイズの信号処理技術、そしてアコースティックな音響技術だ。

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