“FitEar”ブランドのカスタムIEM(イン・イヤー・モニター)で知られる須山歯研から、新しいユニバーサルタイプのカナル型イヤフォン「fitear」と久しぶりのカスタムIEM新製品「彩」(Aya)が登場した。「秋のヘッドフォン祭2014」で行われた発表会では、アニソンとMacとオーディオをこよなく愛す須山慶太社長が登壇。来場者にアニソン(と新製品)の魅力を力説した。
須山歯研は、いまでこそオーディオファンの間でも良く知られた会社だが、社名から分かるように入れ歯の製作など歯科技工の会社だ。そんな会社が、なぜ補聴器やイヤフォンを手がけるようになったかといえば、型どりしたものを金属に置き換える技術を買われ、フィリップスとソニーが補聴器を手がける際にOEM製造を請け負ったから。
同社は、耳の形に合わせて補聴器を作るノウハウをため、銀座に補聴器の店を開く。ところが、当時銀座店の店長をしていた須山氏は、会社のホームページを私物化し、完全に趣味のサイトを作り始める。古くからのMacユーザーなら、「はい!須山歯研です」というホームページをご存じかもしれない。その朗らかなタイトルとは裏腹に、発売されたばかりの高価なMacを容赦なく分解・解析するサイトとして、その筋のマニアには有名な存在だった。
そんな須山氏は、アップルが初代「iPod」を発売した日に購入し、当然その日のうちに分解してしまう。さらに付属イヤフォンに疑問を感じ、カスタムイヤフォンを製作してホームページに掲載。それを見たPA会社からカスタムイヤフォン製作の話が舞い込んだ。これがFitEarの出発点になる。
本格的にカスタムイヤフォン制作に乗り出すにあたり、須山氏は専門家の意見を積極的に取り入れた。サウンドエンジニアの佐藤公一氏、マスタリングエンジニアでFitEarの音作りにも深く携わる原田光晴氏、レコーディング/ミキシングエンジニアの杉山勇司氏など、知り合った専門家のツテで別の専門家を紹介してもらうという“わらしべ長者的手法”で貪欲に知識と意見を取り入れ、音を作り上げていく。「FitEarを作っていただいたプロフェッショナルユーザーの数は約1642名。この場をお借りしてお礼申し上げたい」(須山氏)。
今回の新製品は、ブランド名を冠した新しいユニバーサルタイプ「fitear」(フィットイヤー)。前回「春のヘッドフォン祭2014」に出品されて話題になった製品で、「10年の間に蓄積したノウハウと、全く新しいアプローチによる音質設計」を投入したという。「一度、これまでに作ったものをリセットして、初心に立ち返り……というよりイチから出直して作ったもの。このため、あえてブランド名を商品名にした」(須山氏)。
前回の「パルテール」同様、ユニット構成などハードウェア的な内容は非公開だ。その理由について須山氏は、「私たちが提供するのは“音”であり、ユーザーが求めているのも“音”であることを再確認したため」と説明する。「自分の耳が最高の判断基準。FitEarブースや店頭で確認していただければ幸いです」(須山氏)。
fitearの価格はオープンプライス。同日からフジヤエービックで予約の受付を開始しており、販売価格は8万5900円(税込)となっている。
もっとも、発表会はここでは終わらない。
「One more thing……」。
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