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DSD対応ハイレゾプレーヤー&ポタアン――2つの顔を持つティアック「HA-P90SD」を聴く(2/3 ページ)

» 2015年01月16日 14時41分 公開
[山本敦ITmedia]
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もう1つの「顔」はDSD 5.6MHz対応ハイレゾプレイヤー

 新しく追加されたハイレゾプレーヤーの機能にもフォーカスしよう。本体には内蔵メモリーは持たず、記憶媒体にはmicroSDカードを使う。大きな特徴は5.6MHz/2.8MHzのDSDネイティブ再生ができるところで、ファイル形式はDSFとDFF(DSDIFF)をサポートする。一方のPCM系は最大192kHz/24bitのWAVと、最大96kHz/24bitまでのFLACまでとなっているが、発売後に最大192kHzまでのFLAC再生にファームウェア更新で対応する計画が決まっている。同社の開発担当者にたずねたところ、ALACとAIFFへの対応は現在検討中との回答だった。

microSDXCカードまで対応している

 本体の頭脳にはアナログデバイセズの高性能・低消費電力プロセッサ「Blackfin BF606」を採用。これに処理の負担が軽くレスポンスの良い組み込みOSを採用。プロセッサによる処理のリソースをハイレゾ再生に多く割くことで、約6時間の長時間再生を実現している。内蔵バッテリーは「HA-P50」の2100mAhよりも大容量化され、「HA-P90SD」では3460mAhとなっている。

 ヘッドフォンアンプはプッシュプル回路とオペアンプのディスクリート構成によるAB級動作。周波数特性は10Hz〜80kHzまで広範囲をカバーした。SN比が105dB以上、全高調波ひずみ率も0.004%以下というスペックから読み解く限り、ひずみを抑えたクリアなサウンドが期待できる。

 天面にはモノカラーのOLEDディスプレイを搭載。画面のアイコンを見ながら、同じく天面に配置された円形の十字ボタンと、本体側面の「マルチウェイスイッチ」で再生やメニュー選択などの操作を行う。ディスプレイには曲名やアルバム名から、再生中楽曲のファイル形式やサンプリング周波数を表示。曲名などの日本語表示にも対応している。メニューの階層構成はシンプルにできていて、物理ボタンによる操作も迷わない。レスポンスも俊敏なので、ハイレゾプレーヤーの入門者にも難なく扱えると思う。

天面パネルに単色のOLEDディスプレイを搭載する

 多彩な拡張性についても触れておきたい。背面にはPC入力用のmicroUSB端子を搭載。Windows/MacによるデスクトップUSBオーディオ再生や、iOS機器はDSD再生も含めてアップル純正のUSB変換ケーブルを本体に直接つないでハイレゾ再生ができる。Andorid OSを搭載するスマートフォンなどハイレゾオーディオ機器の場合は、OTGケーブルを仲介すればAndroid 4.1以降の一部機器でDSDを含むハイレゾ再生が可能だ。プレーヤーアプリは純正の「TEAC HR AUDIO PLAYER」がWindows/Mac用に用意されるほか、モバイルは「TEAC HR Audio Player for iOS」がローンチされている。Android版も近日中の公開が予定されている。

背面にはiOS機器用のUSB-A端子とmicroUSB端子を搭載。DC電源供給にも対応する

 同軸/光のデジタル入出力にも対応。同軸デジタル出力は製品発売後のファームウェアアップデートにより、DoP方式によるDSD 2.8MHzにも対応予定なので、例えば自宅のオーディオコンポーネントにハイレゾ対応DACとして本機を組み込んで活用する方法もありだ。フロントパネルのスイッチでデジタル/アナログ入力を切り替えて使うこともできるので、アナログ接続のポータブルオーディオプレーヤーも、本機を導入することでもう一度現役復帰させて、ひと味違う楽しみ方ができるかもしれない。

音質レポート:単体プレイヤーとして、ポタアンとしてそれぞれの実力は?

 それでは「HA-P90SD」のサウンドの特徴を報告していこう。最初にmicroSDカードに入れた音源で単体プレーヤーとしての実力をチェックして、続いてiPhone 5sを接続してポタアンとしての実力を確認した。リファレンスのイヤフォンにはソニーの「XBA-Z5」を使った。ゲインの位置はLowに設定している。

ソニーの「XBA-Z5」で試聴した

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