昨年秋の「ヘッドフォン祭」でティアックが発表したハイレゾ対応ポータブルプレイヤー「HA-P90SD」。発売が遅れていたが、1月末ということになったようだ。一足先にプレーヤーとアンプの2Wayで楽しめる本機の音質と使いこなしのテクニックに迫ってみよう。
ティアックが2014年の春に発売した同社初のDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「HA-P50」は、巷に広がるハイレゾ音源のスタンダードになりつつある96kHz/24bit対応をサポートしながら、音質に磨きをかけて機能面も充実させたポタアンとして人気だ。DACチップにはバー・ブラウンの「PCM5102」を採用。ヘッドフォンアンプのオペアンプには同じバー・ブラウンの「OPA1652」を用いて、プッシュプルのディスクリート回路構成と合わせて音づくりにこだわった。
機能面での特徴としては、スマホなどモバイル端末との高い親和性が挙げられるだろう。特にiPhoneなどiOS機器はアップル純正のUSB変換ケーブルをアンプに直接つないで、最大96kHz/24bitのハイレゾ再生ができる。これによって接続が手軽にできるようになるだけでなく、音楽再生の時にiOS機器とアンプとの間で電源の相互供給を行わないので、結果としてiOS機器側のバッテリー消費が低く抑えられる効果も得られる。
新しい「HA-P90SD」は、この「HA-P50」の音質や機能面での特徴や開発思想を受け継ぎながら本機ならではのオリジナリティーを追求した。まず「HA-P50」との違いを確認しておこう。D/Aコンバーターには据え置き型のSACDプレイヤーにも多く採用されているバー・ブラウンのDSD対応チップ「PCM1795」を使っている。これによりハイレゾプレーヤーとしては最大5.6MHzのDSDネイティブ再生にも対応してきた。PCM系の音楽ファイルは最大192kHz/24bitまで再生ができる。
ディスクリート構成のパワーアンプに搭載するオペアンプは低ひずみを特長とするバー・ブラウンの「OPA1602 SoundPLUS」とした。ヘッドフォン出力はHA-P50の160ミリワット×2(32オーム負荷時)から、HA-P90SDでは170ミリワット×2に強化され、DAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプとしてハイクラスの出力パフォーマンスを備えている。GUIから4段階の最大出力アッテネーターを選び、フロントパネルのゲインスイッチを「HIGH」と「LOW」の2段で切り替えて合計8種類の出力レベルが細かく決められるので、カジュアルなイヤフォンから高インピーダンスのHi-Fiヘッドフォンまで最適な出力設定で鳴らせるのも頼もしい。
本体のサイズは「HA-P50」から大きく変わっていないが、実機を目にすると心なしか「HA-P90SD」の方が大きく感じられる。ボディーのメイン素材には、外来ノイズを効果的に抑えて高い堅牢性も確保できるアルミニウムを採用。手にとってみるとズッシリとした感触が得られる。フロントパネルのヘアライン加工や、ボリュームノブのローレット加工など上質なルックスも満足感が高い。ノブやスイッチを保護するバンパーを本体の両サイドに設けた。ミニマルだけれど、ポータブルリスニングでの利便性も考慮された、機能的で理にかなったデザインだ。
カラバリにはビビッドな「レッド」も加わった。ティアックといえば据え置きコンポの「501シリーズ」や「301シリーズ」など、プロフェッショナルオーディオのコンポーネントをほうふつとさせる質実剛健なデザインの印象が強かったのだが、この鮮烈な赤色を選んだところにハイレゾの普及に向けたティアックの攻めの姿勢が感じられないだろうか。
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