いつも持ち歩いているiPhoneでハイレゾ音源が再生できたら……そんなニーズに応え、最近はiPhoneやiPadをプレーヤーにしてハイレゾ再生が行えるポータブルヘッドフォンアンプなどが増えてきた。今回取り上げるティアック「HA-P50」も、そんな製品の1つだ。
iPhoneには、もともとハイレゾ音源を扱う機能はない。しかし、純正オプションの「Apple Camera Conection Kit」(以下、CCK)や「Lightning-USBアダプター」を使うとiPhoneをUSBホストモードで利用できることに着目し、ハイレゾ音源をデジタルデータのまま送り出す機能を持つアプリが存在する。オンキヨーの「HFプレーヤー」などだ(HFプレーヤーの場合、ハイレゾを扱うにはアプリ内課金1000円が必要)。これに対応するDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプなどを組み合わせれば、PCからのハイレゾ再生と同様、iPhoneからハイレゾ音源を再生できる。
CCKを介した接続はちょっと複雑で、以前は“いかにもマニア向け”という趣だったが、最近ではiOS7のロールスイッチ(内部的にデバイスモードからホストモードに切り替える機能)を利用して、iPhone付属の30ピンケーブルやLightningケーブルで接続できる製品も登場している。今回取り上げる「HA-P50」や、同じGibson傘下のオンキヨーから発売された兄弟機「DAC-HA200」がそうだ。
ただし、あらかじめ断っておきたいのは、CCKがもともとカメラを接続するためのオプションであるように、Appleはこの方法でハイレゾ音源を再生することを正式にサポートしているわけではない。「何をいまさら」と思うかもしれないが、仮にトラブルが生じた場合でも、Apple側のサポートや配慮は期待できない。例えばiOSのアップデートなどが行われたとき、現在の方法論が通用しなくなってもおかしくはないのだ(実際、iOS6とiOS7ではロールスイッチのコマンドが変わっている)。利用は自己責任ということでお願いしたい。
「HA-P50」に話を戻そう。同機は、同社のデスクトップオーディオ「Referenceシリーズ」の「HA-501」を持ち歩くというコンセプトで開発されたDAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプだ。DACチップは、バーブラウン(TI)の「PCM5102」で、最大96kHz/24bitまで対応する。またオペアンプには「OPA1652」を用い、アナログ部にはディスクリート構成のプッシュ・プル回路を採用するなど、こだわった回路構成と部品選別が特徴。ひずみ率は0.001%(32オーム負荷、100ミリワット出力時)という数値を出している。なお、兄弟機となるオンキヨー「DAC-HA200」とは外装の色とオペアンプが異なるだけだ。
ヘッドフォンアンプの出力は、160ミリワット+160ミリワット(32オーム負荷時)。ゲインセレクターを搭載しており、前面のスイッチでHIGH/LOWを切り替え可能。幅広いヘッドフォン/イヤフォンに対応する。
入力は多彩だ。背面にはUSB Type A端子とUSB micro B端子があり、Type A端子ではiPhoneやAndroid端末の接続が可能。Android端末向けにはAOA(Android Open Accessory Protocol)2.0をサポートしているため、対応するデバイスとの間で最大44.1kHz/16bitのデジタル伝送が行える。また上記のiPhoneハイレゾ再生でもType A端子を利用する。
対してmicro B端子は、PC接続およびiOS 6以前のiOSデバイスと接続してハイレゾ再生する場合に利用できる(要CCKもしくはLightning-USBアダプター)。ほかにもフロントパネルに光デジタル入力と3.5ミリアナログミニ入力を兼ねた端子があり、接続できる機器は幅広い。入力系統は、背面のスイッチで切り替える仕組みだ。
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