手始めに、iPhoneと通常のデジタル接続でMP3の楽曲を再生してみよう。iPhoneのイヤフォン出力と比べると全体のS/N向上が顕著だ。またボーカル曲では声が前に出てきて生々しく聞こえるのが心地良い。バックの演奏も一回りクリアに感じられ、MP3ファイルでも、しっかりしたヘッドフォンアンプを使えばここまで印象が変わるのかと再確認した次第だ。これだけでも「HA-P50」を導入する価値はあると思う。
PC接続は、手持ちの「Mac Book Air」とWindows 7マシンで試した。対応OSのマシンならドライバーは必要なし。ハイレゾ音源を再生すると解像感が加わり、さらに上質な印象になった。「Audirvana」などの一般的なアプリケーションで利用できるが、ティアックがユーザー向けに配布しているオリジナルソフト「HR Audio Player」もなかなか使い勝手が良い。英語版のみで機能的にもシンプルだが、プレイリスト再生など最低限の機能は備えている。
最後にiPhone 5とiPad miniからのハイレゾ再生を試して見よう。前述の通り、接続にCCKは必要なし。普段充電に使用しているLightningケーブルでUSB端子に繋ぎ、HFプレーヤーを起動すると、HDライブラリ内のハイレゾ音源を再生できるようになる。HA-P50は96kHz/24bitまでの対応だが、音源が192kHzでもDSDでも、アプリ側が自動的にダウンサンプリングしてくれるので再生は可能だった。それも192kHz対応デバイスと聴き比べてもほとんど遜色のないくらい、高いレベルの音を聴くことができる。このあたりはHFプレーヤーの機能をほめるべきかもしれないが、それも「HA-P50」の音があってこそだろう。
なお、ティアックではiOS版の「HR Audio Player」を提供している。中身は「HFプレーヤー」とほぼ共通だが、対応するティアック製品を接続したときだけ起動する仕様で、ハイレゾ音源を扱うための課金はなし。今回は既にアプリ内課金済みの「HFプレーヤー」を持っていたのでそちらを使用したが、HA-P50でハイレゾ再生を始めるなら「HR Audio Player」を利用すればいい。
ちなみに、手元にiOS6のiPhone 4sもあったので、参考までに「HR Audio Player」を入れてみたところ、やはりロールスイッチは働かず、96kHz/24bitのハイレゾ音源は自動的に48kHzにダウンサンプリング出力された。こちらは音の劣化もすぐに分かるレベルだったが、それでも音が出せるところは親切といえるのかもしれない。なお、今回は試していないが、CCKがあればiOS6でも96kHz/24bitまでのハイレゾ再生は行えるという。
「HA-P50」は、多彩な入力と確かな駆動力が魅力のヘッドフォンアンプだ。ヘッドフォン以外のアナログ出力はもっていないため、スピーカーでハイレゾ音源を楽しみたい人には適さないが、出力をヘッドフォンやイヤフォンに限るなら十分に期待に応えてくれるアイテムだと思う。メインターゲットになるのは、iPhoneは持っているが、ハイレゾ対応のポータブルプレーヤーにも興味のあるという人だろうか。“2台持ち”にするのなら、しっかりしたヘッドフォンアンプを導入するのも良い選択だと思う。
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