今年も「第7回DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」の授賞式が行われ、2014年に発売されたBlu-ray Disc(以下、BD)から、画質や音質、インタラクティブ性など“BDの特性”をよく引き出していると評価されたタイトルが表彰された(→関連記事)。今年も審査委員長を務めたAV評論家・麻倉怜士氏に各賞の評価ポイントや審査の裏話を聞いていこう。
麻倉氏: 今回、グランプリを受賞したのは、ウォルト・ディズニー・ジャパンの「アナと雪の女王」でした。ここ数年、DEGジャパン・アワードのグランプリは各部門のトップになった「部門賞」受賞作の中から選ぶ方式になり、今回の「アナと雪の女王」は、まず「ベスト高画質賞・アニメ部門(洋)」においてクオリティーを高く評価され、さらに全体でもトップと判断されたわけです。事実、画質、音質、作画、CG制作を含め、トータルで質が非常に高い作品です。
さらに「アナと雪の女王」のBD(MovieNex)は、300万枚以上も売れました。この数字はまったくもって特筆すべきものです。間違いなくBDの普及に貢献しているので、そうした点からも評価されたのです。
BD-ROMが登場したのは2006年で、現在日本はビデオディスク販売におけるBDの構成比がもっとも高い国になっています。しかし、その認知度については、業界はまだまだ努力しなければなりません。今回、「ベスト高画質賞・ライブエンターテイメント部門」の部門賞を「ももクロ春の一大事2014」が受賞し、受賞式で「ももいろクローバーZ」からのメッセージが披露されたのですが、その中で「DVDを買ってくれてありがとう!」と言っていて、業界関係者が皆ズッコケました。やはり一般の方々にはまだ“ビデオディスク=DVD”というイメージが強い。ももクロのコメントで、それを再確認しました。
麻倉氏: もう1つのトピックとして、キングインターナショナルの「シューマン:交響曲全集/ベルリン・フィル&サー・サイモン・ラトル指揮」は、「ベスト高音質賞・音楽部門(クラシック)」と審査員特別賞の2タイトルを受賞しています。もともと審査員特別賞は、「部門トップにはなれなかったけれど、素晴らしい作品を拾い上げよう」という主旨ですが、「シューマン:交響曲全集」に関してはこれまでとは意味が異なります。なぜ、部門賞を受賞したタイトルが審査員特別賞に輝いたかといえば、それは“パッケージが評価された”からです。
麻倉氏: 近年のBDは中身は良いのですが、パッケージに凝るケースは少なくなっていて、作品解説などもないですよね。もちろんディスクを再生すれば特典映像などが盛りだくさんです。しかし、やはりディスクメディアはパッケージを手にとり、アートワークを見たり、解説を読んだりするトータルな楽しみ方ができるのも魅力でしょう。昔のLPレコードなどは、パッケージそれ自体が美術作品として飾られたものです。
今後は「Netflix」や「hulu」のようにネット配信サービスが力をつけてくるでしょう。そのとき、あえてBDを購入する理由として、映像とパッケージによってトータルに作品の世界に触れられることが重要になると思います。「DEGジャパン/ブルーレイ大賞」は、BDの長所を引き出した作品を評価するアワードですから、パッケージという要素は絶対に必要だと審査員は考えました。ただアワードとしてはパッケージだけで賞を作ることが難しかったため、審査員が特別賞として「パッケージメディアはパッケージ」というメッセージを発したのです。
では、個々の部門を見ていきましょう。
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