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これぞ高画質&高音質のBlu-ray Disc、第7回DEGジャパン・アワード(前編)麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/2 ページ)

» 2015年03月11日 20時22分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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ベスト高画質賞・映画部門(洋画)

トランセンデンス (発売元・販売元:株式会社ポニーキャニオン)
  トランスフォーマー/ロストエイジ(発売元・販売元:パラマウント・ジャパン合同会社)
  ホビット 竜に奪われた王国(発売元・販売元:ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社)
「トランセンデンス」

麻倉氏: 「ベスト高画質賞・映画部門(洋画)」は、審査員の圧倒的多数から支持されて「トランセンデンス」がとりました。このデジタルの時代にあえて35ミリフィルムによる撮影と編集を行った意欲作です。光と影のコントラスト、人物の質感描写が素晴らしく、人類とテクノロジーの行く末を探る作品性とも実にマッチしています。

 さらに特徴的なのは、ポニーキャニオンが、現在考えうる最高のクオリティーでパッケージに仕上げたことです。一般的にハリウッド作品は、スタジオ側でBDを作成し、全世界統一バージョンとして販売するのが普通です。しかしこの作品については、「日本のクライテリオンになりたい」と考えているポニーキャニオンが買い入れ、より手間と時間をかけて仕上げました。このため、日本版BDのみ、MGVCによる12bit処理が採用されています。また音声も日本で初めてドルビーアトモス処理を行いました。

 画質は素晴らしいです。コントラストレンジは広く、透明感もあります。非常に丁寧にエンコードされた良さが出ています。解像感の高さは目を見はるほど。細かい部分まで丁寧に描写されていて、ハリウッド作品の画質の良いものと比べても一段も二段も上だと思います。日本で、比肩するものがない作品を生み出せたことは、BDシーン全体でも特筆すべきことでしょう。

ベスト高画質賞・映画部門(邦画)

相棒 ー劇場版 IIIー巨大密室!特命係 絶海の孤島へ(発売元:テレビ朝日・販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社)
  るろうに剣心 京都大火編(発売元・販売元:アミューズソフトエンタテインメント株式会社)
  さよなら渓谷 (発売元・販売元:キングレコード株式会社)
  すべては君に逢えたから(発売元・販売元:ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社)
「相棒 ー劇場版 IIIー巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」

麻倉氏: 「ベスト高画質賞・映画部門(邦画)」では、4作品が入賞(ノミネート)しましたが、中でも評価が高かったのは、「るろうに剣心 京都大火編」と「相棒 ー劇場版 IIIー巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」です。部門賞を勝ち取ったのは「相棒」ですが、選考時には審査員の意見も割れ、1回目の投票では決まらず、2回目にもつれ込みました。

 「るろうに剣心」は、俳優たちの迫真の演技を画質面でもクオリティー高く、クリアに仕上げています。対して「相棒」は、画質のプロデュースが際立っていた点が評価されました。冒頭の孤島で訓練を行うシーンでは、水の飛沫ひとつひとつまでハイコントラスト。作画としてはむしろダークな部分まで強調する意図が感じられます。もともと4K制作なので情報量はひじょうに多いのですが、圧倒的にコントラストにこだわり、力強く、かつ作品にあった画作りをした画質プロデュースが評価されたポイントでしょう。

ベスト高画質賞・企画映像部門

クルーズトレイン『ななつ星☆九州に煌めく』(発売元・販売元:ビコム株式会社)
  NHKスペシャル 人体 ミクロの大冒険 (発売元・販売元:NHK エンタープライズ)
  和風総本家 豆助っていいな。歴代ベスト(初代 11代目) (発売元:テレビ大阪株式会社、販売元:ポリドール映像販売会社)

麻倉氏: 「ベスト高画質賞・企画映像部門」は、「NHKスペシャル 人体 ミクロの大冒険」、「和風総本家 豆助っていいな。歴代ベスト(初代 11代目)」、「クルーズトレイン『ななつ星☆九州に煌めく』ブルーレイ+DVDセット」という3作品が入賞しましたがが、この中で圧倒的に高く評価されたのが、ビコムの「クルーズトレイン」でした。

クルーズトレイン『ななつ星☆九州に煌めく』

 「NHKスペシャル」の場合は4K制作ではあってもCGのクオリティーに問題がありました。テレビ放送のドキュメンタリーとしては十分ですが、パッケージメディアのBD作品としては物足りない印象です。一方の「和風総本家」はまったくもって普通のテレビ番組で、悪くはないのですが、逆に特別ハイクオリティというわけでもありませんでした。

 部門賞を獲得した「クルーズトレイン」は、世界が注目した超豪華寝台列車「クルーズトレインななつ星 in 九州」の運行までを追ったドキュメンタリーです。同じクルーズトレインを扱った作品でフジテレビ制作のタイトルもありましたが、そちらは普通のドキュメンタリーでした。内容的にはプロジェクトを推進する社長と車両デザイナーの2人を主人公してものでストリー的にはたいへん面白かったものですが、やはりクルーズトレインが持っている豪華さを見せ、「乗ってみたい!」と思わせる映像美という点で、ビコムの作品は素晴らしかったと思います。撮影期間が短かったそうで、限られた時間の中でいかに高クオリティーで仕上げるか、そのこだわりに驚かされます。

 ビコムは「DEGアワード/ブルーレイ大賞」の常連で、一昨年までは毎年部門賞を受賞していました。撮影対象の“本質”をつかみ、見せるのがビコム流。昨年はその良さを出し切れずに受賞を逃してしまいましたが、今回は同社の地元九州が舞台ということもあり、みごと返り咲きましたね。豪華寝台列車では、一体どんな旅が待っているのか? というワクワク感を演出し、視聴者の気持ちに訴える映像を作り上げました。

 後編では新設された「ベスト高画質賞・ライブエンターテイメント部門」などの音楽系とアニメ部門、レストア部門などを見ていきます。

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