シャープは5月21日、8K時代を見据えた液晶テレビの新ライン「AQUOS 4K NEXT」を発表した。独自の“4原色”技術と8Kアップコンバート回路により、4Kパネルを用いながら8K解像度の表示能力を持つという「AQUOS史上最高峰のテレビ」(同社)。第1弾として80V型の「LC-80XU30」を7月10日に投入する。実売想定価格は168万円(税別)。
2013年に登場した“AQUOSクアトロン プロ”と同様、通常のRGB(赤・緑・青)にY(黄)のサブピクセルを加えた4原色の画素構造を持つ4K対応テレビ。人の目は明暗を感じさせる輝度ピークが多いほど解像感が高まり、また550ナノメートル付近の波長に敏感という特性がある。そこで490〜590ナノメートルの波長を持つG(緑)とY(黄)のサブピクセルを等間隔に配置し、1画素を構成する8つのサブピクセルを上下左右4つのグループに分けて駆動。4倍の輝度ピークにより解像感を向上させる仕組みだ。
入力した映像信号は、新開発の映像エンジン「X8(クロスエイト)-Master Engine PRO」ですべて一度8K(7680×4320ピクセル)にアップコンバートされる。1フレームあたりフルHDの16倍の情報量となるが、前後のフレームも含めて解析することでノイズを抑え、スッキリした高精細映像を作り出すという。これを4原色パネルに合わせて駆動する「超解像 分割駆動」が高精細化のポイント。もちろんネイティブ8Kパネルとは異なるが、解像度チャートを用いた輝度信号の解像度評価において同社で定めた基準をクリアしたことから「8K解像度の表示能力を持つ」(同社)としている。
4原色パネルの採用に合わせ、LEDバックライトも新しくなった。シャープでは2015年モデルから赤色蛍光体の材料を見直したが、「AQUOS 4K NEXT」ではさらに緑色蛍光体も新開発。明るさの低下を抑えつつ、4原色パネルと信号処理技術も合わせて大幅に色域を拡大することに成功した。
色再現範囲を示すカラーチャートでは、従来機比では約1.4倍の範囲をカバー。ハイビジョンの色域規格であるITU-R BT.709を大きく超え、DCI(デジタルシネマの技術標準化組織)が定める色域規格DCI-P比でも100%を超えている。Ultra HDTV規格の「BT.2020」には届かないものの、その7割以上をカバーしている。
「BT.2020では現実世界に存在しない色まで含まれているため、今回は黄色とシアンの色域を拡大してSOCS(標準物体色分光データベース)の点を多くカバーすることを目指した」(同社)。つまり、自然界にある色を網羅する方向に進化させたという。同社では、4原色技術に新開発のLED、それを活かすための色復元信号処理技術を合わせて「高演色リッチカラーテクノロジー」と呼ぶ。
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