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この夏、注目のソニー“BRAVIA”新製品――「KJ-65X9300C」の“リアルな高画質”を映画BDでチェック山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

» 2015年05月25日 15時35分 公開
[山本浩司ITmedia]
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 数を追うビジネスが立ち行かなくなったわが国のテレビ事業。価格下落が止まらないにもかかわらず、2014年度の国内テレビの年間売上げは600万台強と、ひと頃の年間平均需要に比べて30%以上落ち込んでる。この数字は「PCやタブレット、スマホで観るからテレビなんか要らない」という若い層が増えていることの証しでもあるのだろう。いっぽう大画面テレビの売上げ規模が大きい米国や中国では、想像を超える価格競争が繰り広げられ、どう展開しても黒字決算は難しいと、両市場からの撤退・縮小を表明する日本メーカーが相次いでいる。

75V型の「KJ-75X9400C」は直下型LEDバックライトを搭載している

 そんなわけで、テレビ事業を担うわが国の電機メーカーの経営者の思いは共通のようだ。「売上げの多寡ではなく、適正利潤を追いかけるビジネスへ」である。

 そのためにはさほど意味があるとは思えない機能競争やハイスペックの追求を止め、多くのユーザーの心に届く「リアルな高品質」を訴求する必要がある。つまり「このテレビにはこんな魅力があり、このテレビを買っておけば先々こんな楽しみ方ができるのだから、値段が少し高くても納得できる」と一般消費者に思わせられるかどうか、である。

 そんな観点で各社から出そろったこの春夏モデルの大型テレビの新製品をチェックしてみて、筆者がいちばん納得できた製品はソニー“BRAVIA”(ブラビア)の「X9300C/X9400C」シリーズだった。テレビの基本性能である画質・音質において「誰にでも分かる」飛び抜けた魅力を持っているからだ。

 では、その詳細を見ていこう。X9300Cは55V型と65V型の2モデル展開、X9400Cは75V型のみ。バックライトはX9300Cが上下エッジ型、X9400Cは直下型で、どちらも画面を多分割し、エリアごとにバックライトの明暗を制御するローカルディミングが採用されている。

65V型の「KJ-65X9300C」

 画質面では、新4Kプロセッサー「X1」の搭載が新しい。入力された映像信号はこのX1で精査・分析され、その結果を元にBRAVIAお馴染みの3つの高画質回路、「X-Reality PRO」で高精細化処理を、「TRILUMINOS DISPLAY」で広色域処理を、「XDR」(X-tended Dynamic Range)で高輝度化処理を高精度に行なう仕組みだ。

 なかでも注目すべきはXDR。これはローカルディミングで抑制された電流を利用してピーク輝度の突き上げを行なう技術で、実際にこの機能をはたらかせると白がきれいに持ち上がってメリハリの効いた画調になり、人の目を奪う訴求力が出てくる。

 X9300C/X9400CはこのXDRを利用して、「Ultra HD Blu-ray」や4Kコンテンツを配信する予定の「NETFLIX」、来年始まるBSを使った4K試験放送での採用が決まっているHDR (ハイダイナミックレンジ)規格用トーンカーブを持たせ、この新提案に対応するという(本体アップデートで2015年内に対応予定)。

 実際にHDR規格に準じて収録された4Kコンテンツを、HDR用トーンカーブを持たせてチューニングした「KD-65X9300C」で見てみたが、そのメリハリの効いたキレのよい画質の魅力は誰の目にも明らか。単に白ピークが伸びるだけでなく、ハイライトの色ヌケや白ツブレがなくなるため、晴天時の雲の質感や澄みきった空の青がよりリアルに伝わってくるのである。

側面からみたところ

 4K高精細映像は、最適視距離まで画面ににじり寄って観て初めてその魅力が十全に実感できるが、HDR映像は画面から離れて観てもそのよさが分かるのも重要なポイントだろう。画面にさほど近づかなくても、収録カメラのオリジナル映像により近いダイナミックな画調が楽しめるこのHDR規格対応こそ、多くのユーザーの心に届く「リアルな高品質」だと思う。

スピーカーもさらに進化

 もう1つの「リアルな高品質」は、テレビの枠を超えたその音のよさだ。ソニーは2013年の「X9200A」以来、本格サイドスピーカーを擁した高音質技術に取り組んでいるが、3世代目となる「X9300C/X9400C」は、地道な改良によって「これがテレビの音か? 」と思わせる快音を響かせるのである。

設置イメージ

 まず世間の耳目を集めるのは、家庭用テレビ初のハイレゾ音声対応だろう。X9300C/X9400には、ソニー独自のアップコンバート&ビット拡張技術であるDSEE(Digital Sound Enhancement Engine)が搭載され、放送などの圧縮音源は、このエンジンにて欠落した高域情報がなめらかに補間され、96kHz/24bitデータに変換される(16bit CDも同様。96kHz/24bitを超えるハイレゾデータは96kHz/24bitに下方変換される)。

 ハイレゾ音声対応テレビの名に恥じぬようサイドスピーカーの音質もいっそう磨かれている。画面両サイドのスピーカーボックスに3Wayのドライバーをインライン配置するのは昨年の前作X9200B同様だが、最低域を受け持つウーファー(ソニーの言い方ではサブウーファー)の磁気回路にもスコーカー(同ウーファー)同様に磁性流体を採用して支持系からダンパーを排除し、よりスムーズなピストニックモーションを実現、より反応のよい低音再生とスコーカーとの音のつながりの改善を図っている。また、ディスプレイ本体とスピーカーボックスがいっそう堅固に取り付けられ、不要共振を排した澄んだ音を目指したという。

ハイレゾマークが付いた

 このスピーカーを駆動するソニー独自のクラスDアンプ「S-Master HX」も、低歪率化、高ダイナミックレンジ化を図って信号処理回路と電源部のブラッシュアップが行なわれ、出力も総合65ワットから90ワットに引き上げられている。

 機能面では「Android TV」の採用が新しい。これは、ネット動画コンテンツの充実やスマートフォンの普及拡大によるモバイルコンテンツ連携の重要性を勘案して開発されたもの。具体的には、Google提案による「音声検索機能」やスマートフォンの動画をBRAVIAで再生し、同時にスマホでSNSやLINEが使える「Google Cast」、番組観賞中にウラ番組やネット動画を確認できるソニー独自デザインの「番組チェック機能」などが挙げられる。

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