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この夏、注目のソニー“BRAVIA”新製品――「KJ-65X9300C」の“リアルな高画質”を映画BDでチェック山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)

» 2015年05月25日 15時35分 公開
[山本浩司ITmedia]
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映画BDでXDRの効果をチェック

 65V型の「KD-65X9300C」でさまざまなBlu-ray Discを再生してみた。ソニーのローカルディミングの巧さは以前から定評があるが、それがいっそう磨き込まれた印象で、ダイナミックな明暗制御によって得られるハイコントラスト映像のインパクトは強烈だ。エッジライト型とは思わせない見事な仕上がりなのである。

 平均輝度レベルの低いシーンで、白ピークの周囲がぼんやりと明るくなるハロと呼ばれる現象は、さすがに直下型バックライトを採用した75V型機のほうが目立たなくなるが、それにしても、漆黒と暗部の階調表現をこれほど見事に達成している液晶テレビはほかにない。

Blu-ray Disc「インサイド・ルーウィン・デイヴィス〜名もなき男の歌」は5076円。発売・販売元は東宝 Photo by Alison Rosa(c)2012 Long Strange Trip LLC

 プラズマや有機ELなどの自発光ディスプレイのコントラスト表現に限りなく迫った液晶テレビは、最新BRAVIAに止めを刺すといってもいいだろう。もっとも視野角の狭さは相変わらずで、その点では自発光タイプにまったくかなわないのだが……。

 先述した漆黒と暗部の階調表現のすばらしさに唸らされたのが、XDRがはたらく「ホームシネマ」モードで観た映画BD「インサイド・ルーウィン・デイヴィス〜名もなき男の歌」だった。薄暗いコーヒーハウスでルーウィン・デイヴィス役のオスカー・アイザックが歌うオープニング・シークエンス。スポットライトが当たったシンガーと光が完全に落ちた暗闇のコントラスト感が抜群で、暗部のグラデーションも精妙に描き切るのである。それからもう1つ感心したのは、ホワイトバランスの安定感。肌色が過度に緑がかったり、赤みがかったりすることなく、ナチュラルなフェイストーンを提示する。

 本機の音のよさに感心させられたのが、米国盤BDの「セッション」(原題:WHIPLASH)だった。本作は先の第87回アカデミー賞で録音賞と編集賞を獲っており、この映画の演奏シーンは実に見応えがある。映像と音が一体となって音楽の面白さを増幅してくれる得難いスリルが味わえる作品だ。

米国盤BD「WHIPLASH」

 とくにすばらしいのがエンディングの9分16秒に及ぶ、エリントン・ナンバー「キャラバン」の演奏シーンだ。主役のドラマー、アンドリュー(マイルズ・テラー)とビッグ・バンドの演奏を巧みなカメラワークと編集で見事に描ききるのだが、再生が難しい大迫力のビッグ・バンド・サウンドを「KD-65X9300C」はつい見入ってしまうほどの音で楽しませてくれるのである。

 このBDは平均音量レベルが低く(すなわちダイナミックレンジが大きいということだが)、広い部屋で聴くにはアンプのパワーがもう少しほしくなるが、最大音量近くまでボリュームを上げても歪んだり、音のバランスが悪くなることなく、音楽の姿かたちをきちんと描写することにも感心させられた。また、もっと低音を!という向きには、本シリーズに最適化させたワイヤレス・サブウーファーとの組合せをお勧めしたい。

 家庭用テレビ初のハイレゾ音声対応テレビということで、本機のUSBポートにフラッシュメモリーを挿して96kHz/24bitのハイレゾファイルを聴いてみたが、その音のリッパさにも驚かされた。チェロやコントラバスの音色の表現も真っ当だし、何よりきちんとステレオ配置されたラインソースのスピーカーならではの空間の広がりが実感できるのである。内蔵アンプの低歪率化やスピーカーの取り付け精度の向上などもこの高音質に寄与しているのだろう。テレビ内蔵スピーカーでこんな音が聴けるのは、このBRAVIAと三菱「LS1」シリーズだけである。

 この数年、音楽聴取スタイルがどんどんパーソナル化し、リビングルームにリッパなステレオ、いやミニコンポの類ですら置かれることが少なくなっているが、X9300C/X9400Cを購入すれば、このテレビをリッパなステレオ装置として機能させることができると思う。テレビを観なくても、ネットワーク経由でインターネットラジオやハイレゾファイルを聴く総合エンターテインメント・マシンとして活用できるわけで、何にせよ音がよいテレビというのは、計り知れないメリットがありそうだ。多くのユーザーの心に届く「リアルな高品質」。ソニーBRAVIAのX9300C/X9400Cの魅力にぜひ触れていただきたいと思う。

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