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ハイレゾ・ポータブルプレーヤーの頂点に立つ! Astell&Kern「AK380」を聴く(1/4 ページ)

» 2015年05月26日 19時52分 公開
[山本敦ITmedia]

 Astell&Kernのハイレゾオーディオプレーヤーに超弩級のフラグシップ「AK380」が加わる。先に開催された「春のヘッドフォン祭 2015」でも取り分け話題をさらった新製品の1つだ。今回は発売前の「AK380」の試作機を一足先にお借りすることができたので、音質のインプレッションを中心に報告しよう。なお発売後の製品版では、当レビューでご紹介する試作機から細かな仕様が変更される場合もあることを予めお断りしておきたい。

Astell&Kernの新フラグシップモデル「AK380」。筆者はそんなに手が大きくない方だが、手のひらに収まりがよく、片手持ちでの液晶画面の操作も難なくできた

AK240を超えてきた“究極のハイレゾ・ポータブルプレーヤー”

 「AK240」の発売以来、約1年が経って発表された「AK380」は、同社AKシリーズの頂点に君臨する。“THE EVOLUTION OF A MASTERPIECE(傑作のさらなる進化)”という開発テーマの元に、既にハイレベルなAK240の完成度をさらに研ぎ澄ましてきた。日本での販売時期や価格に関する公式のアナウンスはまだされていないが、北米ではVAT(付加価値税)を抜いた本体価格が3499ドルに決まったそうだ。日本円に直すとだいたい41万円前後だが、おそらく日本での販売価格はこれを超えてくるはず。まさに据え置きタイプのハイレゾ対応プレーヤーの上級モデルが買えてしまうほどの、驚きのハイエンド・ポータブルプレーヤーだ。

背面は「AK240」や「AK120 II」などのモデルでもお馴染みのカーボンプレート。右上コーナーのねじ穴は、発売が予定されている専用ポタアンを合体したときに固定するために設けられている

 本体のサイズはAK240よりも四辺を一回り大きくしたほどで、厚みはどちらも17.5ミリと変わらない。質量はAK240の185グラムに対して、AK380は218グラムとわずかに増している。両サイドを斜めに傾けた個性的なデザインは光と影の“動き”を捉えることをイメージしているのだという。AKシリーズのデザインはAstell&Kernの本国である韓国の著名プロダクトデザイナーが手がけている。一見すると奇抜に見えるが、カッティングされた高剛性ジュラルミン素材のボディがちょうど良い具合に指にひっかかり、男性の手であれば心地良く手に馴染むと思う。

 サイドのボリュームダイヤルや反対側に設けられた再生/一時停止、曲送りのボタンも軽快に操作ができた。スムーズな操作性についても熟考されたデザインだといえる。ボディの素材は強靱なジュラルミンなので、素のまま持ち歩いても問題は無いと思うが、専用レザーケースのバリエーションにも興味が尽きないところ。

サイドフレームは光が当たると様々な色合いに変化する。ボリュームダイヤルはフレームの間に挟むデザインにして誤動作を防ぐ。ボトムにあるスリットはmicroSDカードスロット

 ディスプレイはAK240の3.31型よりも、少し大きくなった4型のタッチパネル液晶を搭載。解像度は800×480ピクセル。ジャケ写やメニューの表示も十分に高精細だ。前面のガラスにはハイエンドクラスのスマホやタブレットなどにもよく採用されている、コーニングの強化ガラス「Gorilla Glass 3」が採用されている。画面が少し大きくなった分、操作性を補完するため、フロントパネルのボトム中央に「メタルタッチ」と呼ばれる新しいインタフェースが付いた。内蔵されているタッチセンサーにしっかりと触れることで、起動中どの画面からも素速くホーム画面に戻ることができて便利だ。

フロントパネルのボトム中央に「メタルタッチ」を配置。少し強めにタッチするとホーム画面に切り替わる

 ストレージは256Gバイトの内蔵メモリーのほかに、本体側面ボトムの位置にmicroSDメモリーカードスロットを1基搭載。最大128GバイトのmicroSDメモリーカードが併用できる。再生可能な音楽ファイルの形式は、代表的なものではWAV/FLAC/AIFF/ALAC、DSF/DFFなど幅広くサポート。リニアPCMは最大384kHz/32bit、DSDは5.6MHz/2.6MHzまでのネイティブ再生に対応する。

側面にmicroUSB端子を配置。その隣にあるのは専用クレードルとバランス接続するためのアナログ端子
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