9月1日から日本でもサービスを開始した「NETFLIX」(ネットフリックス)。新作タイトルの確保が難しいサブスクリプション型(定額制見放題)でありながら、独自にコンテンツを製作するという手法で多くの注目作を送り出している。独自製作により最も早くコンテンツを配信でき、4KやHDRといった新しいトレンドにも強い。創業者でCEOのリード・ヘイスティングス氏に詳しい話を聞いた。
――昨晩から登録の受付を開始しましたが、手応えはどうですか?
ヘイスティングス氏:初動という意味では“エクセレント”ですね。もちろん数字は見ていますが、われわれはサービス開始1年目に“数字”を追うことはしません。たとえ数は少なくても、その視聴者に愛されることが大事だと考えているからです。実際に試した人たちが気に入ってくれるのか。2〜3カ月後に、例えばNETFLIXに接続する頻度や有料プランに切り替えてくれる人の数――そうした数字に注目します。
愛されるためには何が必要かといえば、やはり視聴者が「見たい!」と思うコンテンツをより多く提供することです。これまでの経験でサービスの良さは口コミで広がるものだと分かっていますし、気に入ってくれた人は無料視聴期間が終わってもそのまま使い続けてくれます。
ネット動画配信には競合も多いのですが、サービスによっては視聴するまでに煩雑な手続きがあることもあります。しかし、NETFLIXはトライしやすい形にしているつもりです。リラックスして気軽に使えるので、ここで説明するより、まずは1カ月間試してみてほしいですね。
――日本では最近“テレビ離れ”を指摘する声もありますが、どう見ていますか?
ヘイスティングス氏:日本に限らず、世界中の誰もが“自由と選択”にひかれるものです。いつでも好きなときに見たいコンテンツを選び、スマートフォンでもテレビでも視聴できる自由。今までのテレビでは1つしか選択肢が与えられていませんでした。
それは固定電話とスマートフォンのようなものです。固定電話も素晴らしいものでしたよね……前世紀では。もちろん今でも固定電話を使っている家庭も多いですが、携帯電話やスマートフォンの利便性にはかないません。電話の場合、20年をかけた革命でした。
映像でもネットで動画を配信している「BBCオンライン」などが大きく成長し、「Youtube」も世界中で人気です。今後は、大きな放送局、衛星放送などもネットに比重を移していくことになるでしょう。今のテレビ局にしても、昔はラジオ放送をしていたのですよ。同じように今後はインターネットに移っていくと思います。
NETFLIXは、その一部としてエンターテインメントをお届けしていきます。成長する中でたくさんのコンテンツを得て、グローバルなマーケットを開拓していきます。
――4K/Ultra HDに対応した「プレミアムプラン」もありますが、これはユーザー数の拡大にどの程度、貢献すると見込んでいますか
ヘイスティングス氏:4Kは“新しいテレビ”です。今年から多くの国で販売が始まっている段階で、普及率でいえばまだ一桁でしょう。ただ、NETFLIXのコンテンツでは1週間の視聴時間のうち、週にもよりますが概ね5〜10%が4Kになっています。そして1ついえることは、もっとも多くの4Kコンテンツを有しているのがNETFLIXであるということ。これからもどんどん増えます。
ヘイスティングス氏:4Kコンテンツをストリーミングで視聴するには15Mbps程度の実効速度が必要になりますが、日本はブロードバンドのインフラも普及しているので問題はないと思います。今後、より成長していくでしょう。
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