東芝は9月16日、秋冬商戦向けに開発中の液晶テレビ“レグザ”ハイエンドモデル試作機を報道関係者に公開した。同時にティーザーサイトもオープンするなど、近年にない力の入れよう。それもそのはず、同時に技術発表として披露された「7000nit HDRパワーディスプレイシステム」のエッセンスを多分に取り込んだ力作となっている。
公開された試作機は、1000nitオーバーの高輝度LEDバックライトに開口率を広げた新しい液晶パネルを装備。新開発のローカルエリアコントロールを合わせ、コントラスト比なら「Z10Xシリーズ」の約15倍、輝度ブーストを備えた「CELL REGZA」(2009年発売)の約11倍に及ぶという。
パネルはBT.2020の色域を約80%カバー。輝度の拡大によって色数が増えた中、不自然な色がでないように制御する。さらに「ハイコントラストブラックパネル」と名付けられたパネル表面の拡散反射を低減する技術で、よりクッキリとした色とコントラストを実現するという。同社は一時期、色鮮やかに見える光沢処理の液晶パネルを推進していたが、映り込みや部材調達の問題から“半光沢”に落ち着いた経緯がある。今回はHDR対応というトレンドに合わせ、改めて光沢液晶パネルに挑戦する形だ。
映像エンジンも新世代へ移行する。同社の場合、既に4K対応映像エンジンは2世代目。3年がかりで開発を進め、現在は「最終段階にきている」と話す。新エンジンのポイントは2つ。まずHDR化に対応してバックライトのエリアコントロール技術を進化させること。従来はLEDの輝度を点灯時間で制御していたが、今回はさらにLEDの駆動電流を変える制御を加え、より幅広く柔軟なコントロールが可能になった。
2つめは超解像技術の進化だ。早くから取り組んできた「再構成型」の超解像技術はサイクルを2回まわす2段構えになる。入力映像に対し、1段目で低域〜高域までバランスよく高精細化し、2段目ではさらに微細なテクスチャーを復元する仕組み。「同じチップで2段階の超解像処理が行える。理想に近い超解像を実現した」(同社)という。
自己合同性超解像技術もさまざまな角度の斜め線でエッジのジャギーを抑えるように進化。文字や建物の映像でも滑らかに表示できる。さらに色の超解像といえる広色域復元技術では、64色軸の色空間処理で最明色(物体色の限界)を考慮した補正機能を強化する。「自然界に存在しない色をディスプレイ上で作ってしまうことがあり、不自然な色になってしまう。それに注意して高輝度化、高コントラスト化した」(同社)。
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