須山歯研は、同社のFitEarブランドから、初のバランスド・アーマチュア型(以下、BA)ドライバーとダイナミックドライバーをハイブリッドで搭載するカスタムイヤーモニター「FitEar Air」を「秋のヘッドフォン祭2015」の会場でお披露目した。
新製品の「FitEar Air」は、フォステクス製の9ミリダイナミック型ドライバーと、BA型ドライバーをハイブリッドで搭載。銀メッキ処理の4芯線ケーブルは本体着脱式とし、プラグは3.5ミリ形状のオヤイデ製ステレオミニプラグを採用した。今春のヘッドフォン祭で限定販売されたカスタムイヤーモニター「萌音17歳」と同じものを採用している。
もう1つの特徴は、ブラックのイヤーシェルに組み合わせるフェイスプレートがオレンジ、赤、青、黄、白、黒の6色から選べるようになること。ただし、片側ずつ色を互い違いに選ぶことはできない。なお、オレンジは今回のコラボレーションのパートナーであるフォステクスカンパニーのコーポレートカラー、黄色は本製品のテーマカラーとなっている。
価格はオープンで、実売価格は10万円台になる見込み。一般発売の時期は未定だが、秋のヘッドフォン祭の会場では先行販売も行われている。また初日の午後には会場の中野サンプラザで発表会を開催し、社長の須山慶太氏が新製品の開発経緯や詳細を壇上で語った。
須山氏は、「かねてよりBA型とダイナミック型の長所が理想的にマッチしたハイブリッド型のイヤフォンを作りたいと考えていたが、そのためにはいくつかの課題をクリアする必要があった。BA型のドライバーは密閉された空間でも鳴らせるが、単体では再生できるレンジが狭いという弱点があり、音楽を聴くためのイヤフォンに採用するために複数のユニットを組み合わせてレンジを広く取るマルチドライバーのアプローチが採用されてきた。これに対して、ダイナミック型のドライバーは一発でもレンジを広く取れるが、密閉空間でうまく鳴らすことができないのが弱点」と各ドライバーの特徴を説明した上で、「FitEar Air」の開発経緯を語り始めた。
「カスタムイヤーモニターは、耳の中に音楽を楽しむための静かな環境を作り出すことが1つのテーマ。ところが耳穴の中に入れられるイヤフォンの音響スペースの容積はわずか数cc。完全密閉された空間にダイナミック型のドライバーを入れてしまうと、振動板に気圧変化による動作規制が生じてしまう。そのため、一般的な改善方法としては『ベント』と呼ばれる小さな穴をつける」。シェルに小さなベントを設けることで圧を緩和しつつ、ドライバーの自由な動きを確保するというわけだ。ところが、このベントを付けることで新たな課題が発生する。
「アウトドアなど騒がしい場所で使うと、このベントから外部騒音が侵入したり、聴いている音が外に漏れる原因にもなる」
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