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とりあえずハイレゾを体験してみたい――手持ちのスマートフォンを活用しよう!ハイレゾスタートガイド(1)(1/3 ページ)

» 2015年10月28日 23時05分 公開
[山本敦ITmedia]

 ライブやコンサートに出かけて生演奏の音楽から得た感動は、できれば毎日でも繰り返し味わいたいもの。だから私たちはもう一度あの感動を蘇らせるために、レコードやカセットテープ、CDなど音楽コンテンツを収録したソフトを買って、高品位なオーディオ機器で再生する。最近では音楽ソフトそのもののクオリティが“ハイレゾリューションオーディオ”、通称“ハイレゾ”の登場により飛躍的に高まっている。

日本オーディオ協会の推奨するハイレゾのロゴマーク

 ハイレゾを楽しむオーディオ機器としては、ハイレゾ対応のネットワークオーディオプレーヤーやUSB-DACなど本格的なコンポーネント、もう少しカジュアルに楽しめるPCとデスクトップサイズのUSB-DAC搭載機器との組み合わせが一般的なスタイルの1つとしてある。ただ、この場合はアンプやスピーカーなど、再生機器の他にもハイレゾを聴くための機器を一式そろえる手間や元手が必要だ。そこでハイレゾをカジュアルに楽しむための入門編としてまず、スマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーのおすすめ製品からご紹介してみたい。第1回目は「ハイレゾ対応のスマートフォン」からだ。

スマートフォンでハイレゾを聴く方法

 もはやスマートフォンは私たちの生活に欠かせない日常使いのアイテム。以前は外出先で音楽を聴く際にはiPodなどのポータブルオーディオプレーヤーを使っていたけれど、最近はすっかりスマホに統合してしまったという方も多いだろう。ふだん使いの音楽プレーヤーとしてもスマホは活躍の場面を広げている。

 昨年の後半あたりからは、国内の大手キャリアであるNTTドコモ、KDDI/au、ソフトバンクから「ハイレゾ対応」のAndroidスマートフォンが発売され、その数は徐々に充実してきた。特にNTTドコモは昨年の秋冬モデルでAndroid搭載の「ドコモ スマートフォン」のハイレゾ対応を高らかにうたい、ラインアップを取りそろえた。以後、今年の春夏、そして直近の2015年〜2016年冬春モデルではスマートフォン全9機種のうち7機種がハイレゾ対応になった。イヤフォンジャックからのアナログ出力が最大192kHz/24bitまでのハイレゾ対応なので、イヤフォンやヘッドフォンをつないで、最も手軽に「とりあえずハイレゾを体験してみたい」人にもベストな選択肢になる。

ソニーのハイレゾ対応Androidスマートフォン「Xperia Z5」。国内3大キャリアから発売される

 いま特におすすめしたい機種はソニーの「Xperia Z5」だ。NTTドコモ、KDDI/au、ソフトバンクの3キャリアともに取り扱っている、いま最もスタンダードなハイレゾ対応スマホだ。Androidスマートフォンのハイレゾ対応は、一昨年2013年の冬モデル頃から徐々に始まってきたが、ソニーのXperiaが初めてハイレゾに対応したのは作年春発売の「Xperia Z2」から。本機はUSBオーディオからのハイレゾ出力のみに対応していたが、その次に昨年の秋冬モデルとして発売された「Xperia Z3」以降、イヤホンジャックから96kHz/24bitまでのハイレゾ出力が可能になった。同じソニーグループの“ウォークマン”で培われた高音質化技術も注入され、洗練された「ミュージック」アプリのユーザーインターフェースや、DSDファイルもリニアPCMに変換しながら再生できる点など、マニアックなオーディオファンも満足させる機能も充実のハイレゾ対応スマホだ。

 さらに「Xperia Z5」ではBluetoothによりハイレゾ相当の高音質なワイヤレス再生が行える「LDAC」の技術もサポートしている。曲と曲の間の無音部分をスキップして継ぎ目なく再生する「ギャップレス再生」に対応した点も、ほかのスマートフォンにはないウォークマンと血を分けたXperiaならではの強みである。例えば楽章の間に切れ目なく収録されているオーケストラの演奏も、ギャップレス再生に対応していることで気持ち良くシームレスに再生できる。ポータブルオーディオプレーヤーとしての使い勝手も熟考されたスマートフォンだ。本機の兄弟機である「Xperia Z5 Premium」や「Xperia Z5 Compact」もハイレゾ再生は同じ機能を共有する注目機。音質の傾向としては聴感上のバランスがとても良く、ハイレゾの繊細なディティール感をきめ細かく忠実に引き出せるのが特徴だ。

iPhoneでハイレゾ音源を聴く

 ところでiPhoneでハイレゾは聴けないのか? という疑問もあるだろう。結論からいえば、現状iPhone単体でイヤフォンなどをつないでハイレゾを楽しむことはできない。ただ、USB-DACなど周辺機器を組み合わせれば、iPhoneも立派なハイレゾプレイヤーになる。

iPhoneに接続しているのはLightning-USB変換アダプター。こちらを装着してUSBケーブルでハイレゾ対応のUSB-DAC内蔵ポタアンなどにつなぐと、iPhoneによるハイレゾ再生が楽しめる機器の組み合わせも存在する

 現在の最新ファームであるiOS9をインストールしたLightning端子搭載のiPhone(iPad/iPod touchを含む)であれば、Lightning-USB変換アダプターというアップルの純正アクセサリーとUSBケーブルを介することによって、ハイレゾ対応のUSB-DAC内蔵アンプにデジタル接続ができる。あとはオンキヨーの「HF Player」など、ハイレゾ対応のプレーヤーアプリに音源を保存して再生するだけで、iPhoneを核としたハイレゾ再生環境を作ることができる。ただし、この使い方はアップルが正式にサポートしているハイレゾ再生の手段ではないので、USB-DACによっては同じ使い方ができない場合も結構あるので注意したい。

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