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部屋中を“上質な音”で満たす――テクニクス「OTTAVA」のこだわりと実力山本浩司の「アレを見るならぜひコレで!」(1/3 ページ)

» 2016年01月19日 06時00分 公開
[山本浩司ITmedia]

 2014年初秋の「IFA 2014」で復活が宣言されたThechnics(テクニクス)。昨年システム総額約500万円のリファレンスモデル「R1シリーズ」と同約45万円のプレミアムモデル「C700シリーズ」が発売され、テクニクス・ブランドに郷愁と憧れを抱くベテランのオーディオファイルを中心に大きな注目を集めたことは記憶に新しい。

 R1シリーズなど価格が価格だけに右から左へ売れるような商品群ではないが、同社は東京と大阪に音とじっくり対峙できるテクニクス専用試聴室を設け、時間をかけて丁寧に売り、テクニクスのブランド価値を高める覚悟を固めているようだ。

 先頃ラスベガスで開催された「CES 2016」では、ダイレクトドライブ方式のアナログレコードプレーヤーの新製品「SL1200G」が発表された。1972年の発売以来、モデルチェンジを繰り返しながら約30年間で累計350万台を売り上げ、世界に名を轟かせた「SL1200シリーズ」久々の復活というわけである。

CES 2016のパナソニックブースに展示された「SL-1200G」

 ただし従来のSL1200シリーズと本機の性格はかなり違う。ダイレクトドライブ方式ならではのトルクの強さを生かしてさまざまなスクラッチ・プレイを可能し、ピッチコントロール機能やストップ&ブレーキのスピード調整機能を持たせたことでクラブDJに愛され、ユースカルチャーを牽引した過去のSL1200シリーズは、10万円以下(SL1200Mk4で7万円台)のプライスタグが付けられていたからこそ大ヒット商品となったわけだが、SL1200Gは北米想定価格で4000ドル。日本発売時には50万円前後の価格になることが予想される。

 そう、デザインこそ「SL1200シリーズ」の流れを汲んでいるが、SL1200GはDJ用というよりも、値段が高くてもかまわない、少しでもいい音が聴きたいというシリアスなオーディオ・ファンを想定したレコードプレーヤーなのである。そのために随所に物量を投入して正攻法に音質を磨き上げているようだ。高音質重量盤復刻LPが世界的に静かなブームを呼んでいる今日、この価格帯でも十分に勝負できると同社企画陣は考えたのだろう。

試聴システムも用意されていた

 アナログ録音黄金期の上質な音楽を細部にまでこだわったメカニズムを擁した上質なレコードプレーヤーで聴く。これこそ2010年代の「中身化する社会」(管付雅信さんの著書)の美しいライフスタイル像の1つなのかもしれない。

 設計担当者に話を聞くと、SL1200Gではダイレクトドライブ方式の弱点とされてきたモーターのコギング(レコード演奏時の不安定要素となるトルクムラ)の完全追放を目指しているという。駆動方法として回転位置をCPUに認識させて駆動波形を決めるハイテク手法が用いられるようだ。果たしてその音質は? 一刻も早く自室でSL1200Gの音を聴いてみたいと思う。

部屋中を良質な音で満たす「OTTAVA」

 RシリーズとC700シリーズの発売後、音楽・オーディオファンからさまざまな要望がテクニクスに寄せられたという。テクニクス伝統のダイレクトドライブ方式アナログプレーヤーの発売希望とならんで多かったのが、リビングルームのインテリアにしっくりと馴染む上質で手頃な価格のコンパクト・システム、そしてテクニクスの名にふさわしい高級ヘッドフォンのリリースだったという。

 その要望を満たしたテクニクス製品の発売がこの1月下旬から始まる。それが「OTTAVA」(型番はSC-C500)と「EAH-T700」だ。前者がコンパクトCDシステム、後者がヘッドフォンである。

プレミアムオールインワンHi-Fiシステムをうたう「OTTAVA」。1月中に発売する予定で、希望小売価格は20万円(税別)

 SC-S500に付けられた愛称”OTTAVA(オッターヴァ)”とは、イタリア語でオクターブ(西洋音楽の8度音程)の意。音を遠くに飛ばす和音楽器のテクニックの1つであるオクターブ奏法からこの名前は付けられたという。つまり、このコンパクトなオーディオシステムで部屋中を良質な音で満たしてしまおうというわけだ。

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