「受付小町はどうなるんだ?」
2014年12月、ナムコ本社(2006年に分割新設した新生ナムコ)の移転が発表されたとき、多くの社員が真っ先にこう思ったという。
このときに既に故障していた小町を直せる技術者は移転先にはいない、かといってこのまま倉庫に眠らせるのは嫌だ――そこで声を挙げたのがバンダイナムコスタジオの中谷社長だった。
ニャームコ(迷路脱出ロボット)がきっかけでナムコを知ったという豊田さんは、「ビデオゲームやアプリなどさまざまなものがあるが、ナムコが面白いのはやっぱりエレメカ。そんな面白いもの、とんでもないもの、不思議なものの象徴がロボットなのかもしれません」と話すように、ロボットへの思い入れは人一倍強い。
「会社から許可が下りなくても勝手にやってやろうという覚悟はありましたよ(笑)」という言葉から分かるように、小町へも並々ならぬ思いがある。結局、小町はバンダイナムコスタジオに引き取られることになり、プロフェッショナルたちによる復活劇が始まった。
小町をよみがえらせるべく、豊田さんの他、指田さんや石井さんなど旧ナムコに入社した腕利きの技術者たちが次々と集まっていく。
指田さんも「バンダイナムコスタジオはナムコのものづくりの血脈が色濃く残るところで、小町はナムコの遺伝子」と、小町が特別な存在であることを強調する。
当時の資料とにらめっこしながらのレストアは困難を伴うことが予想されたが、豊田さんは「レストアの前段階として、根本的に作り直さないといけない可能性もあったんです。でも、ふたを開けると意外と作りがしっかりしてて、当時のパーツをほぼそのまま使えましたね」と当時を振り返る。
社員の熱い思いによって復活を(ほぼ)約束された小町。社内からはレストアだけでなく、「せっかくだからこれを機に新機能を実装してリニューアルしよう」という声が挙がった。御年&キャリア30年のベテランの域に達してもなお進化を続ける小町は、どんなアラサー社員に仕上がっていったのか。
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