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「ナムコ遺伝子」を継ぐ者が大集結! 30年前の受付ロボ復活劇名作ゲームの原画も公開(1/5 ページ)

» 2016年03月04日 06時00分 公開
[村上万純ITmedia]

 ナムコ(当時)が1985年に開発したヒト型ロボット「受付小町」中村雅哉社長(当時)のむちゃぶりによってわずか4カ月で開発された彼女は、30年以上“ナムコの顔”として受付に立ち続ける。現在は門前仲町にあるバンダイナムコスタジオのオフィスで元気に働いている(関連記事:ナムコ社長「受付はロボットにしろ」 30年前の無茶ぶりを伝説的クリエイター陣が語る)。

※バンダイとナムコの経営統合をうけ、グループ各社のゲーム事業を統合し、バンダイナムコゲームス(現・バンダイナムコエンターテインメント)が誕生。そこから開発部門を分社し、バンダイナムコスタジオを設立。記事中のナムコは、統合前のゲーム事業部分を指す。

受付小町 受付ロボット「受付小町」と「マッピー」

 多くのナムコ社員に愛されてきた彼女だが、故障によって引退の危機にさらされることになる。そんな小町の復活劇について、時を超えて受付小町に関わってきた5人のキーマンたちに話を聞いた(当時の資料などはバンダイナムコスタジオより提供)。

担当者 受付小町を世に生み出し、支えてきたキーマン。左から遠山茂樹さん、豊田淳さん、指田稔さん、佐々木洋さん、石井源久さん(詳細は下記プロフィール参照)

受付小町に関わるキーマンたち(いずれも旧ナムコに入社)

遠山茂樹

1981年入社。バンダイナムコスタジオ AM第3開発本部 コンテンツデザイン3部 AM企画7課 エグゼクティブプランナー。

代表作は「ゼビウス」(メカデザイン)、「ガンバレット」(企画)、「プロップサイクル」(企画)など。「ニャームコ」「マッピー」「ピュータン」などロボットの企画デザインも担当する。「キュージくん」の企画・開発担当。

佐々木洋

1981年入社。ナムコ企画開発本部 新規事業企画部第3企画チーム。

アトラクション企画開発ディレクターとしてナンジャタウンのアトラクション全般を手がけ、「幸せの青い鳥」「魔法体験!マジカル学園」「ゾンビブレイカー」などを担当する。受付小町の企画・開発担当。

(ここでは2006年にアミューズメント部門および新規事業部門が独立した新生ナムコを指す)

豊田淳

1990年入社。バンダイナムコスタジオ NE戦略本部 NE戦略部 NEプロジェクト推進課 課長兼AC連動制作課 課長。

代表作は「テイルズオブエターニア」(原案、ディレクター)、「テイルズオブレジェンディア」(プロデューサー)、「TEKKEN ARENA」(プロデューサー)など。受付小町のリニューアル担当。

指田稔

1990年入社。バンダイナムコスタジオ AM第2開発本部 コンテンツ開発3部 AMVA3課 ヘッドアートディレクター。

代表作は「ギノウタイ」「テクノドライブ」(デザイン、アートディレクション)、「ミスタードリラーシリーズ」(デザイン、アートディレクション)、「エースコンバット3」(グラフィックデザイン)、「百獣大戦アニマルカイザーシリーズ」(演出、アートディレクション)など。受付小町のリニューアル・デザイン担当。

石井源久

1999年入社。バンダイナムコスタジオ ET開発本部 未来開発部 クリエイション課 リードエンジニア。

「屋内砂浜 海の子」「ロストランドアドベンチャー」「ナレルンダー!仮面ライダードライブ」「マキシマムヒート」などでプロジェクター、ドームスクリーン、Kinectセンサー、立体視技術などを活用したゲームの空間設計・技術ディレクションを担当する。受付小町のリニューアル・プロジェクションマッピング担当。



 彼女がいかにして復活したのかを紹介する前に、“エレメカのナムコ”(エレメカは「ワニワニパニック」や「コズモギャングズ」などの体感型アミューズメント機器を指す)が進めてきた1980年代のロボット事業について、改めて紹介したい。

 情緒をキーワードにしたナムコのロボットはどんな未来を描き、技術者たちは21世紀のテクノロジーに何を思うのか。

ロボットに大事なのは“情緒”

 80年代と今とでは何が大きく変わったのか。遠山さんは、「技術の進化で精度はすごく上がったけれど、実はあまりやっていることは変わっていないんです」と打ち明けた。

 「昔は、未来はこうだったらいいよねっていうのを“なんちゃって”で作ってたんです」と遠山さんは笑う。ここでいうなんちゃってとは、簡単な音声認識と合成技術であたかもロボットと会話している風にしたり、バンドロボットが本当にドラムをたたいている風にしたりすることを指す。

ピクパク ロボットバンド「ピクパク」(1984)。本当に楽器を演奏しているわけではない

 「今は精度が上がって本当に楽器をたたくロボットもいますけど、果たしてそれが本当にエンターテインメントなのか。個人的にはかわいげがないなって思っちゃいますね(笑)」と話す遠山さんは、「精度だけでなく情緒についても考えないと、いつまでたっても人間と対等に話はできない」と続ける。

 佐々木さんも「膨大な情報にアクセスできるクラウドと連携するロボットはすごいし、すぐに正解を出してくれるけど、それが本当にやりたかったことなのか? と思うこともあります。粋な曖昧さ、とでもいうべきものが欲しいというか」と、持論を述べた。

 80年代、ロボットブームに沸いたナムコでは、「未来」だけでなく「情緒」という言葉もはやっていたのだという。

ロボットイメージ1 1980年代に佐々木さんが考えたナムコの情緒ロボット。私たちの日常に溶け込むものをイメージしていた
ロボットイメージ2 かわいらしく、親しみやすいデザインが特徴
ロボットイメージ3
ロボットイメージ4

 彼らが考えるこれからの情緒ロボットとは、どのようなものなのか。

 佐々木さんは、「ロボットといっても必ずしも体はいらなくて、魂となる部分が時計、テレビ、掃除機などいろいろなものに憑依(ひょうい)するとか、そういう未来がきそうだなとは思いますね。立体映像の妖精みたいな」と語る。

 このようなロボット関連の事業について現在進めているものがあるか聞いてみたが、残念ながら詳細は明かされなかった。当時ナムコのエレメカで未来を体験してきた読者たちにとっては、今後どのような未来を描いてくれるのかは気になるところだろう。

子供とナムコ 子供の情緒を育んできたナムコのロボットたち

 昨今のロボットブームの代表格ともいえるPepperについてどう思っているか尋ねたところ、口をそろえて「耐久力と安全性がすごい」という、作り手ならではの意見が出た。

Pepper つぶらな瞳で見つめてくるPepper

 「子供が体を触ったり、握手したりしても壊れないし、危険性もない。あと、OSレベルで障害物を認識して動き方を変えるのもすごいですよね」と、遠山さんは子供向けのエレメカを作り続けてきたナムコならではの視点で語る。

 指田さんも「純粋に、悔しいですよね。携帯ショップとかで見かけると、結構未来きてるなって思いますし」と胸中を明かした。

動くPepper 「感情認識ロボット」をうたうが、自由奔放な振る舞いが特徴
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