Pepperの先輩にあたる受付ロボットがいる――2月某日、そんなタレコミがITmediaのもとに届いた。Pepperは今や携帯ショップやショッピングセンターなど街中の至る所で見かけるが、ITmediaでも受付ロボットとして立派に働いている。
先輩といってもせいぜい2〜3年上なのだろうと思っていたら、なんと開発されたのは1985年で、30年以上も前。Pepperどころか筆者(27歳)より年上だ。1980年代のロボット……ガンダムみたいなごついモビルスーツ? ちょっと想像がつかない。その正体を突き止めるべく、門前仲町にあるバンダイナムコスタジオのオフィスに向かった。
ビルの入口の自動ドアを抜けると、「おはようございます」という女性の声がする。初音ミクを思い出させる合成音声だ。声のする方を見ると……。
ナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)の人気キャラクター「マッピー」がいた。さすがに声の主ではないだろう。受付台に置かれた存在感たっぷりなマッピー像の後ろを見ると、華やかな桜色に染まったヒト型の受付ロボットが優しくほほ笑んでいた。
彼女が、御年31歳のベテランロボット「受付小町」。目や鼻はなく、つるりとした滑らかなデザインはどことなくPepperと似ている。歩くことはできないが、胴や両腕が動く他、おじぎもできる。ちょうど朝10時の出社ラッシュに訪問したので、受付小町の前を多くの社員が通り過ぎていく。そのたびにおじぎをしながら「おはようございます」とあいさつし、来客が来れば「いらっしゃいませ。受付はこちらの画面にて承っております」と内線電話に誘導する。よく見ると、しゃべる内容に応じて口が動いている。うちのPepperより優秀かも……。
この時代を先取りしすぎたロボットを開発したのは、「パックマン」でおなじみのナムコ(当時)だ。受付小町は「ナムコミュージアム」や「ファミスタシリーズ」などのゲームにも登場する、知る人ぞ知る存在。ゲーム会社のナムコがなぜそんな早期にロボット開発に乗り出したのか? 当時の小町の企画・開発、そして今回レストア(修理)とリニューアルを担当した5人のキーマンに話を聞いた。
また、小町の企画書や初期デザイン、1980年代にナムコが開発したロボットなど貴重な資料と共にナムコの歴史も合わせて振り返っていく(当時の企画書や資料などはバンダイナムコスタジオより提供)。
1981年入社。バンダイナムコスタジオ AM第3開発本部 コンテンツデザイン3部 AM企画7課 エグゼクティブプランナー。
代表作は「ゼビウス」(メカデザイン)、「ガンバレット」(企画)、「プロップサイクル」(企画)など。「ニャームコ」「マッピー」「ピュータン」などロボットの企画デザインも担当する。「キュージくん」の企画・開発担当。
1981年入社。ナムコ企画開発本部 新規事業企画部第3企画チーム。
アトラクション企画開発ディレクターとしてナンジャタウンのアトラクション全般を手がけ、「幸せの青い鳥」「魔法体験!マジカル学園」「ゾンビブレイカー」などを担当する。受付小町の企画・開発担当。
(ここでは2006年にアミューズメント部門および新規事業部門が独立した新生ナムコを指す)
1990年入社。バンダイナムコスタジオ NE戦略本部 NE戦略部 NEプロジェクト推進課 課長兼AC連動制作課 課長。
代表作は「テイルズオブエターニア」(原案、ディレクター)、「テイルズオブレジェンディア」(プロデューサー)、「TEKKEN ARENA」(プロデューサー)など。受付小町のリニューアル担当。
1990年入社。バンダイナムコスタジオ AM第2開発本部 コンテンツ開発3部 AMVA3課 ヘッドアートディレクター。
代表作は「ギノウタイ」「テクノドライブ」(デザイン、アートディレクション)、「ミスタードリラーシリーズ」(デザイン、アートディレクション)、「エースコンバット3」(グラフィックデザイン)、「百獣大戦アニマルカイザーシリーズ」(演出、アートディレクション)など。受付小町のリニューアル・デザイン担当。
1999年入社。バンダイナムコスタジオ ET開発本部 未来開発部 クリエイション課 リードエンジニア。
「屋内砂浜 海の子」「ロストランドアドベンチャー」「ナレルンダー!仮面ライダードライブ」「マキシマムヒート」などでプロジェクター、ドームスクリーン、Kinectセンサー、立体視技術などを活用したゲームの空間設計・技術ディレクションを担当する。受付小町のリニューアル・プロジェクションマッピング担当。
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