それが「説明小町」という、受付小町とうり二つの商品プロモーションロボットだ。カラーや一部機能こそ異なるものの、見た目やおおよその仕様はほぼ現在の受付小町と同じ。ビデオデッキの再生など、どことなく時代を感じさせる機能を備える。この説明小町、10台ほど生産され、近年は北海道夕張市で目撃情報があったのだが、他の小町は相変わらず行方不明。どこかで小町を見かけたという方がいればぜひITmediaにご一報を。
受付小町は、この説明小町をベースに改良を加えて誕生。デザインは佐々木さんとデザイナーの冨士宏さん(ワルキューレシリーズ等のキャラクターデザイナー、現在は漫画家)が担当し、いくつものカラーバリエーションを考えた。コンセプトは「近未来でおしゃれなロボット」。小柄な女性をイメージし、見る人に想像してほしいということで、目や鼻、口などの立体物は付けなかった。
受付小町という名前は、約30案の中から選定。佐々木さんによると、「カッコイイ横文字の名前が候補に挙がる中、ナムコでは“鉄拳”など直球勝負の名前がカッコイイという考えがあった」ので、受付小町というストレートな名前に決まった。
価格は400〜500万円ほどで、さすがに当時受付小町の購入を検討する企業はなかった。だが、そんな小町のうわさを聞きつけ意外な訪問客が現れる。
意外な訪問客の正体は、近所の子供たち。受付ロボットは来客にも衝撃を与えたが、それ以上に子供たちに人気だった。遠山さんが「お母さんが小さい子供の手を引いて、玄関に来るんですよ。いいですか? って(笑)」と話すと、他の担当者も「そうそう!」と当時を懐かしんだ。
また、今はマッピーと一緒に出迎えてくれる小町だが、当時は「キュージくん」という相棒がいた。キュージくんはその名の通り来客にお茶をくむ給仕ロボットで、開発部員の手作りという一点もの。小町と連携し、受付のボタンを押すと家の中から出てきてお茶かジュースを入れてくれるという、Pepperも真っ青の優れものだ。
だが、作り置きのお茶の味がイマイチだったのと、衛生面の管理が大変だということで残念ながら引退を余儀なくされた。指田さんがナムコに入社した1990年にはすでに倉庫の中に眠っていたという。
相棒のキュージくんがいなくなった後も、小町は“ナムコの顔”として受付に立ち続けた。だが、ある日突然故障してしまった小町は、受付嬢人生最大の危機にさらされることになる。ただのオブジェと化した小町はキュージくんと同じ運命をたどってしまうのか……。
気になる彼女の運命の行方は、近日公開予定の記事でお届けする。マッピー像に隠された秘密、ナムコのエレメカ担当者が現代のロボットブームに思うことなども合わせて紹介していく。
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