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インタビュー
» 2016年04月07日 06時00分 公開

Keyからひぐらし、ボカロまで:音のコミケ「M3」 1万人動員のイベント主催者に聞く「同人音楽の20年」 (4/4)

[鈴木美雪,ITmedia]
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M3は平等な器である

―― ずっと気になっていたのですが、イベント名である「M3」は、どういう流れで決まったのですか?

M3 同人音楽 「M3」はMusic+Media-mix Marketの略

相川氏 もうあまり覚えていませんね。池袋に何人かで集まってブレストをした際に出た意見だったはず(笑)。

永尾氏 今はもうマルチメディアなんて死語に近いですが、当時は新しいジャンルでした。MDが廃れたり、CDが売れなくなったり、時代によって音楽の入れ物が変化していくんです。媒体がどう変わるか分かりませんが、私たちは音系に関わる人なら誰でも門を開くつもりですよ。

―― M3の公式サイトにも楽器や歌の生演奏だけではなく「あらゆるものを包括します」とありますね。

永尾氏 音楽でプロを目指している人、趣味でやっている人、フリーランスでやっている人も、ハードウェアを作る人も歓迎です。設立当初からインディーズも認めています。どちらにせよ、自主制作であればいいので。

サークル参加者だけに配られる「えむすりぃ通信」

―― コミケでは商業ベースの作品だとNGだったり、営利団体の参加は難しかったりしますね。

永尾氏 企業で参加する際は「企業ブース」での申し込みになりますが、基本的にM3は商業を認めています。私たちは音系を楽しんでいるのは作曲している人だけではないと思っていて。聴く側のお客さんだって楽しんでいます。M3は音系の作り手、受け手問わず、全てを受け入れる場の器(うつわ)であるようにしています。

相川氏 私たちはあえて「音系」という言葉を使っているんです。CDを売るサークルさんが多いですが、自作の楽器を売ったり、アニメを自主制作したり、プロダクトや映像も受け入れるので、「音楽」じゃない仕組みや手段でも、「音系」であれば良しとしています。だから、音系即売会なんです。

M3 同人音楽 音系を楽しむために(前回の2015年秋カタログ&今回の2016年春カタログ)

永尾氏 また、出展希望サークルが多かったときの抽選は平等に行っています。インディーズバンドでも、声優でも、プロ音楽家でも平等です。配置は電源コードだったり、壁サークルは列の予測などの理由がありますが、運営として「このサークル推しです!」というのは作らないようにしているんです。運営主体でイチオシのサークルさんを集めてライブを開くこともありません。

―― 確かに、M3という同人即売会は存在しても、ライブ会場を貸し切ってライブを開くことはされていませんね。

永尾氏 あえてライブは開かないようにしています。限られた時間と場所で「M3イチオシのサークルさんです!」みたいな空気を作りたくないんです。

相川氏 もちろん、法に触れているものはNGですが、洗練されているだけじゃない、ある種、濁ったものもM3の文化だと思っています。コミケとはまた違った形で、音系を楽しむ人たちの器としてあり続けたいですね。

―― 相川さん、永尾さん、本日はありがとうございました。

取材後記

 相川氏、永尾氏に貴重な話を聞くことができた。「ボーカロイド」やニコニコ動画の「歌ってみた」などのブームはあるが、筆者としてはそのブームに参加者数が左右されていないことが一番の驚きだった。

 M3では一般来場者もサークルやスタッフと同じく、仲間という認識がある。作品を制作して発表する人、作品を求めて来場する参加者、そして即売会を計画運営するスタッフ……どれが欠けてもイベントは成り立たない。音系を愛する人たちの場として、ずっと先の未来もM3という聖地が守られるよう、陰ながら頑張りたいと思う。

 ※今回初参加となる人は、過去の動画であるがM3ご案内(ニコニコ動画)を見ておくこともオススメしたい。入場にはカタログ(当日の会場購入も可)が必要だ。ルールとマナーを守ってM3に参加しよう!


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