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Ultra HD Blu-rayの実力を堪能できる4Kテレビはコレだ!(後編)山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/3 ページ)

» 2016年05月26日 18時16分 公開
[山本浩司ITmedia]
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 先月の本欄でパナソニック「TH-65DX950」、LGエレクトロニクスの「65E6P」という“Ultra HD Premium”規定を満たしたこの春の4Kテレビの新製品をご紹介した。今月はソニー、東芝、シャープの4Kテレビのニューモデルをじっくりチェックすることができたので、そのインプレッションを記したいと思う。

 前回述べたように、6〜7月に20世紀フォックス、ワーナー、ソニー・ピクチャーズなどからUHD BD映画ソフトが国内発売されることが決定した。それとほぼ時を同じくして手頃な価格のUltra HD Blu-rayプレーヤーがパナソニックから発売されると予想されるが、なにはともあれこの夏から未曾有の高画質コンテンツを手軽に楽しめるようになるのは喜ばしいこと。

 ここにご紹介するソニー、東芝、シャープの4KテレビのニューモデルもUHD BDの魅力を十全に味わえる正攻法の高画質アプローチが採られており、いずれ劣らぬ出来のよさを示している。では、ソニーの新製品「KJ65X9300D」から紹介していこう。

マスターモニターに迫る表現力、ソニー「KJ-65X9300D」

 X9300Dシリーズは、65V型と55V型の2モデル展開。厚さ37mmのとてもスタイリッシュなテレビで、壁にピタッと寄せられる専用金具を用意して壁掛け設置を積極的にアピールするとともに、ケーブルがきれいにまとまるスタンド形状を工夫するなど、インテリアとの融合を考え抜いた貴重な大画面テレビといっていいだろう。

ソニー「KJ-65X9300D」

 X9300Dは正面コントラストで有利なVAパネルを搭載したローカルディミング(部分減光)採用機だが、この薄さを実現するために画面両サイドにLED光源を配したエッジライト方式が採られている。

 パネルの真裏にLEDを配置した直下型に比べて、エッジライト型はきめ細かなエリア制御が不可能、というのがこれまでの常識だった。例えば画面両サイドにLEDを配置した場合、上下方向のエリアはLEDの数だけ細かくできるが、左右方向は2分割しかできない。つまり、かなり大まかな明暗制御になってしまい、HDRコンテンツの醍醐味(だいごみ)であるダイナミックなコントラスト表現が難しくなってしまうのである。

 ところがX9300の映像をチェックしてみると、直下型に勝るとも劣らないコントラスト感と階調表現が実現されていることが分かり、おおいに驚かされてしまった。黒の黒らしさ、暗部階調表現ともにエッジライト型とは思えない卓越した映像を見せてくれるのである。

 その秘密は新たに採用された独自の導光板構造にあった。「Slim Backlight Drive」(スリムバックライトドライブ)と命名されたこの技術、要するにLEDの両脇近くを照らす導光板とLEDから離れた場所を照明する導光板を組み合わせることで、直下型と見紛うようなハイコントラスト映像を実現しているわけである。非常に薄い導光板を何枚も積層させて所定の場所を照らし分けるというこの手法は、どう考えても凄い技術というほかない。

画面の側面に薄い金色のモールドを設けている。より薄く見えるという

 実際にソニーの有機ELマスターモニター「BVM-X300」を傍らに置き、全暗環境で「シネマ」系モードでその画質を見比べてみたが、コントラスト、階調、色再現、ホワイトバランスなどすべての画質要素でマスターモニターに限りなく迫る表現力を示し、筆者を驚かせた。ソニー「BRAVIA」の画質エンジニアの実力の高さを再認識した次第だ。

 X9300でもう1つ感心したポイントがある。ご存じのようにVA(Vertical Alignment)パネルは視野角が狭くなるのが通例だが、X9300は他社のVAパネル採用機に比べて、オフセットした位置から画面を見ても、コントラスト変動や色合いの変化がとても少ないのである。これならリビングルームで家族何人かで観る際にとても使いやすいはず。視野角で有利な液晶の開き角とバックライトの光量の関係を徹底的に追い込んでいるからこそだろう。つい見過ごしがちな特質だが、この視野角の違いはぜひ店頭でご確認いただきたいと思う。

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