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Ultra HD Blu-rayの実力を堪能できる4Kテレビはコレだ!(後編)山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(3/3 ページ)

» 2016年05月26日 18時16分 公開
[山本浩司ITmedia]
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生々しい映像と音像が正しいスピーカー、シャープ「LC-55XD45」

 シャープ「AQUOS」のこの夏の新製品でぜひ注目していただきたいのが、55V型の「LC-55XD45」だ。VAパネルを搭載した直下型バックライトのローカルディミング機で、昨年秋に登場した「XG35」「XD35」に引き続いて本格的なサイド・スピーカーを搭載し、音のよさを積極的にアピールする。

シャープ「LC-55XD45」

本機はLEDの発光効率を上げて消費電力を抑える「リッチブライトネス」技術を搭載し、HDRコンテンツ再生の基準と目される最大輝度1000nitsをクリアーするとともに、青色LEDと組み合わせる緑・赤蛍光体の改良とに色復元回路の広帯域化(リッチカラーテクノロジー)などで、UHD BD再生で求められるデジタルシネマの色域、DCI-P3をほぼフルカバーしているという。

 UHD BDを再生し、全暗環境で「シネマ」系画質モードで本機の映像をチェックしてみたが、HDRコンテンツらしい力感に満ちたハイコントラスト映像と豊かな発色を楽しむことができた。視野角の狭さこそ気になるが、じっくり映画と対峙したいという「お一人様」ユースには恰好の製品ではないかと思う。

 もう1つ感心したのは、本機の音のよさ。 ディスプレイの両サイドに60×60mmのアルミ製四角柱エンクロージャーが美しく配置されているのだが、そのスピーカーが奏でる広がり豊かなステレオサウンドに思わず聞き入ってしまったのだ。

独立したキャビネットを持つサイドスピーカー

 エンクロージャー中央に配置されたシルクドーム・ツイーターの上下に2基のミッドレンジユニットが対向配置され、ディスプレイ背面に向かい合わせにした2基のウーファーを配置するという3Way仕様のシステムだが、この広がり豊かなサウンドは、対向配置されたミッドレンジユニットから放射される音波をツイーター上下のデフューザーで拡散させるという巧みな設計あってのこと。また、スピーカーエンクロージャーが18度内振りに固定されているが、これは3H(画面高の3倍)の場所に座ったときにツイーターの音軸が視聴者の耳の位置で交差する角度だそうだ。

 実際に3Hの場所で音楽ライブ作品を観てみたが、ステージ上のの歌手の口許から声が発せられている強固なイメージが得られ、なおかつホールの響きがディスプレイ全体を包み込む見事なサウンドを聴くことができた。声の質も極めて良い。

 XD45の音質設計には、オーディオ専業メーカーのオンキヨーの協力を仰いだとのことで、昨年秋に登場したXG35、XD35以上にまとまりのよいサウンドが実現されているのではないかと実感させられた。

 現実と見紛うような生々しい映像で人物が画面上に立体的に浮かび上がり、その人物がほんとうにしゃべっている、歌っているという強固なイメージが得られること。オーディオビジュアルの世界で、もっとも重要なポイントはそこにあると筆者は長年信じているが、その理想に限りなく近づいた4K大画面テレビが、LC-55XD45と言ってもいいだろう。


 ソニー「X9300D」、東芝「Z700X」、シャープ「LC-55XD45」と駆け足でこの4K大画面テレビをレビューしてみたが、いかがだっただろうか。いずれにしても、UHD BDの実力をフルに引き出せる4Kテレビが3月時点で存在していなかったことを考えると、HDRコンテンツにいかに対応するかにフォーカスして画質を追求したこれらの新製品の実力の高さはおおいに称賛すべきで、あとは視聴環境や好みに応じて自分にぴったりのモデルをお選びいただきたいと思う。

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