見晴らしの良い上空から初日の出を眺められる「初日の出フライト」。地上の天候にあまり左右されず、年に1度のシャッターチャンスを逃さないとして人気が拡大している。
2017年元旦も日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)に加え、格安航空会社として初めてバニラ・エアも初日の出フライトを実施した。さらに北九州空港を拠点とするスターフライヤーも、設立以来初めて、羽田空港を発着する初日の出フライトを行った。
同様の初日の出フライトは毎年11月ごろに各社が発売するが、スターフライヤーの場合は無料招待制なのが大きな特徴。かつては有償で販売していたものの、利用者への還元や地域へ感謝する意味から、応募者から抽選する無料招待制を採用したという。
2016年までは北九州空港発の1便のみを運行していたが、2016年3月に会社設立から10周年を迎えたこと、また羽田路線への注力や首都圏での認知拡大を狙い、2017年は北九州と羽田で同時に2便を飛ばすことになった。2017年の北九州便には約2500組が応募し、43組113人が当選。また羽田便には応募1700組に対し39組103人が招かれ、2便合わせて乗員乗客258人が搭乗した。
今回取材した羽田発の「SFJ0101」便は6時過ぎに出発。関東最東端の初日の出スポットとして有名な千葉県銚子市の犬吠埼沖に向かい、南北に旋回しつつ初日の出を待った。出発時点は真っ暗だった外の景色も、日の出の6時46分に近づくと徐々に明るくなり、雲上に太陽が姿を現すと機内から大きな歓声と拍手が上がった。
参加者の多くは持参したデジタルカメラやスマートフォンにご来光を納めたほか、スターフライヤーもレンズ付きフィルムを配布。左右どちらの席からでも日の出を見られるよう、機体を何度か旋回させるなど配慮していたのが印象的だ。
その後は進路を西に取り、富士山南麓、静岡県・御殿場市の上空を通過。高度を通常の定期路線より低い約5500メートルに下げ、大迫力の富士山山頂を眼下に見ることができた。機体はさらに西へ進み、三重県・伊勢市の伊勢神宮上空に入って志摩半島上空で旋回すると、伊豆半島と房総半島を経由して、約2時間半後に羽田空港に着陸。初日の出に加えて富士山や伊勢神宮などを空から巡る旅に、参加者は満足げな表情を見せていた。
スターフライヤーの機材はエアバス製A320(150人乗り)で、今回の羽田便は2016年12月に受領したばかりの機体を利用。現在は臨時便などで使っており、定期便の利用がないため上記のようなたっぷりとした内容になったという。同時に行われた北九州発のフライトは大分沖で初日の出を迎えたのち、桜島上空を旋回するコースで、機材をその後の定期便で使う必要があるため、所要時間は羽田発のフライトよりも短いという。
また同フライトでは記念の招待状に搭乗チケットを発行し、搭乗ゲート前では甘酒や有名店のラスクなどをサービス。機内ではスタッフが手書きしたメッセージカードにバッジ、機体を模したクッキーと木製アクセサリー(絵馬のように願い事を書く機内イベントも)、特製機内食に酒升で日本酒も振る舞われ、往復航空券などが当たる抽選会も行われた。
到着後のターンテーブルでは、同社社長と機長・パーサーが署名した搭乗証明書、フライト前の記念写真と思い出の写真を綴じられるアルバム、スタッフ手作りのしめ縄、手ぬぐい、タリーズと共同開発したオリジナルコーヒーなどの記念品を用意。往復航空券を1組に追加プレゼントするサプライズ企画もあるなど、最後の最後まで参加者を楽しませていた。
スターフライヤーによると羽田からの初日の出フライトは、社長をはじめ全社員の悲願だったという。イベントの責任者を努めた大室氏は「元旦なので和風に、と思ったが、今回はコーポレートカラーの白と黒を使って洋風のイベントに仕立てた。『感謝をつなぎ、新たな空へ』という新コンセプトに沿い、お土産もスタッフが手作りした」と説明。柴田常務は「多数の応募から当選された、ものすごく運の良い方々をご案内できるのは非常に楽しみ。初日の出フライトは有志による手作り企画で、夜を徹して準備してきた。8年連続で顧客満足度1位を獲得したが、10年連続へつなげていきたい」と意気込んだ。
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