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ライバルもあっと驚く価格破壊、OPPO「Sonica DAC」の仕上がりは?潮晴男の「旬感オーディオ」(1/2 ページ)

» 2017年03月08日 11時00分 公開
[潮晴男ITmedia]

 ハイレゾの世界はまさに日進月歩。1年経つとあっと驚くほどその内容が変わっていることに心穏やかでない読者も多いことだろう。OPPO Digital Japanが2016年末にリリースした「Sonica DAC」は、そうした変化にいち早く対応し最先端のニーズに応えるUSB-DACである。もっとも大きな特徴は正統的に進化したという以上のパフォーマンスを身に付けていることだ。

「Sonica DAC」。価格はオープンプライスで、直販価格は10万5840円(税込)

 Sonica DACは、USB-DACとして機能するほか、ネットワークプレーヤー、音楽配信のストリーミングサービスにも対応する多彩なハードウェアである。中核を担うDAC部分でその能力を高めたもっとも大きな要素はESS Technologyがリリースした最新のフラッグシップDACチップ「ES9038PRO」を採用していることである。ESS TechnologyのDACチップは国内のオーディオメーカーでも数多く採用される評価の高いチップだが、ES9038PROはその前作に当たる使いこなしの難しかった「ES9018S」を改善し、加えて動特性を向上させたところに大きな特徴がある。

これがESS Technologyの「ES9038PRO」

 このチップはともに8chのセクションを持つDACで構成されているが、ES9038PROはさらにチャンネルあたり4つのDACを組み込み合計32個のチップを持つぜいたくな仕様になっている。したがってSonica DACのように2ch再生の製品の場合、16個のDACチップを並列で駆動することが可能となり、SN感とダイナミックレンジの大幅なレベルアップが期待できるのである。

 こうしてSonica DACは基本となる性能を飛躍的に高めるとともに、トロイダルの電源トランスを配した強力な電源回路とディスクリートで構成したアナログ信号処理回路を与えて音質の純化に努めている。

 USB-DACとして使った場合、768kHz/32bitのPCM信号と22.6MHzまでのDSD信号に対応する。ネットワークプレーヤーとしてLANケーブルによる接続では192kHz/24bitのPCM信号と2.8MHzまでのDSD信号を受け付ける。入力端子はUSBが2系統のほか、同軸デジタル、光デジタル、アナログRCA端子が用意された用意周到型だ。

背面端子。USBオーディオ入力(Type B)のほか、同軸、光デジタル入力、マスストレージクラス対応のUSB 2.0(Type A)などを装備。プリアウトとしてXLRバランス、RCA(アンバランス)がある
入力切替はアイコン表示でとても分かりやすい

 またこのモデルはDACプリアンプとしても使えるよう、デジタルボリューム機能を備えている。デジタルボリュームはアナログボリュームに比べて音が悪いというのが通説だが、この点もES-9038PROは小振幅時の歪(ひずみ)率が大振幅時に比べて相対的に高くなるというこれまでの課題を克服し、デジタルボリュームでありながらアナログボリュームに近い特性に纏め上げているため、その懸念が払拭されていることもうれしい。上位機のプリアンプを使う場合はこの限りではないが、エントリークラスのプリアンプなら、それを飛ばしてSonica DACとパワーアンプをダイレクトに接続するという方法もぜひ試してほしい。

ボリュームノブ
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