フルバランス設計のなされたアナログ出力を用いて試聴するSonica DACはクリアネスに富み、バランスの取れた清々しいサウンドを再生する。マイケル・スターン指揮、カンザスシティ・オーケストラのサン=サーンス交響曲第3番のSACDでは、スケール感や音場の深みがもう少しほしい気もするが、中低域にかけての量感も不足がなくパイプオルガンの朗々とした感じを良く描き出す。全体に安定していて落ち着きを感じさせるのもこのモデルの良い部分である。
カレン・ソウサの「エッセンシャルズII」CDでもボーカルの表情を丁寧に捉えて持ち味を良く引き出す。ハイレゾ再生でも基本的に同様の印象だが、レンジ感をひけらかすことのないバランスの取れた表現力が飽きのこない音を聴かせてくれる。
ぼくは現在、exaSound Audio Design(エクササウンド・オーディオデザイン)の「e32」というUSB-DACを使っているので、どうしてもこのモデルがリファレンスになる。比較すれば鮮度感やディティール描写ではe32ということになるが、このモデルはお弁当箱のようなケースに入ったコンパクトさに多少残念と感じる部分もなくはない。それでもぼくがe32を使うのは音がよいからである。しかしながらその一方でSonica DACのようなスタイリングをしていれば、もう少しオーディオ製品らしい雰囲気が感じられるのにと思うこともなくはない。
それだけにSonica DACのこのプライスには驚かされるが、それを成し遂げているのはシャーシや電源部分などの資産をDAC内蔵のヘッドフォンアンプ「HA-1」から受け継いでいるからだろう。最初にSonica DACを聴いた時、この性能で20万円以下のプライスなら申し分ないと思ったが、とんでもない。オープンプライスという設定なので現在の実勢価格は10万円前後ということだから、まさに価格破壊的で高性能な非常識モデルであることに間違いないと思う。
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