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「スマートウォッチは時計の価値が薄れる」──スマホと“連携しない”活動量計付きアナログ時計 エプソンが発売

» 2017年07月20日 17時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 「時計の本質は、美しさとぬくもり。人と精密機械のつながりを感じさせる“アナログ”にある」──と、セイコーエプソンの碓井(うすい)稔社長は語る。

 同社は7月19日、活動量計機能などを備えながらスマートフォンと“あえて”連携しないアナログ腕時計の新ブランド「TRUME」(トゥルーム)を発表した。センサーで計測した歩数や消費カロリーなどを文字盤の針で表示するのが特徴。ブランド第1弾となる製品を9月28日から順次発売する。価格は24万円(税別)から。

photo 時計本体(左)と、外付けの「エクスパンデッドセンサー」(右)

 TRUMEは、時計本体にGPSセンサー、気圧・高度センサー、方位センサーを内蔵するアナログ腕時計の新ブランド。キーホルダーのような外付けデバイス「エクスパンデッドセンサー」と時計をBluetoothで連携すれば、温度、紫外線、歩数、消費カロリーといった情報も文字盤の針で表示できる。

 時計本体は、太陽光や室内光で充電できる「ライトチャージ」(光発電)のみで駆動する。エクスパンデッドセンサーはボタン電池が必要だ。製品ラインアップは文字盤の色やバンドの種類、外付けセンサーの付属ありなしが異なる8機種を用意した。

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「あえてネットにはつながない、高性能なアナログウォッチを」

 昨今「Apple Watch」や、Googleの「Andorid Wear」を搭載するスマートウォッチの勢力が増している。碓井社長もスマホと連携する腕時計の可能性を感じる一方で「時計の本質は、美しさとぬくもりを象徴し、人と精密機械のつながりを感じさせる“アナログ”にある」と熱弁する。

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 「TRUMEを着けてエレベーターに乗ってみてほしい。高度を示す針が優しくスムーズに動く様子に感動してもらえるはずだ。エプソンにしか作れない、着けることが誇らしくなるような製品を作っていきたい」(碓井社長)

なぜ高性能センサーを備えながらスマホ連携機能を省いたのか

 同社の井上茂樹事業部長(代表取締役 専務執行役員 ウエアラブル機器事業部)は、スマートウォッチの登場で時計業界に多くの異業種メーカーが参入する中、同社には1942年から時計事業を続けてきた強みがあると話す。

photo セイコーエプソンの井上事業部長(左)、碓井社長(中)、エプソン販売の佐伯直幸社長(右)

 「時計業界は大きな変革期を迎えているが、われわれにとってチャンスだ。今のスマートウォッチは、スマートフォンと連携しないと有益なデータを得られない。OSやハードウェアの変化が激しすぎるため、せっかく高いお金を出して買っても時間の経過によって時計の価値が薄れてしまう。先端技術を搭載しながら、世代を超えて愛されるようなアナログ時計を出したかった」(井上事業部長)

 同社は1942年に時計事業を創業。2012年には世界初のGPS機能付きソーラー発電ウォッチを発売。現在は腕時計ブランドとして「ORIENTSTAR」「smart canvas」「WristableGPS」を展開している。

 「スマートウォッチを身に付けている多くの人が、画面にアナログウォッチの文字盤を表示させている。(求められている)時計の本質とは、そういうこと(アナログ)だ」(井上事業部長)

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