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果敢なチャレンジ精神に天晴!――「麻倉怜士のデジタルトップテン」(中編)(1/4 ページ)

» 2017年12月30日 06時00分 公開
[天野透ITmedia]

 デジタル閻魔帳の毎年恒例企画「麻倉怜士のデジタルトップテン」。10位から7位までを紹介した前編に続き、中編は6位から4位までカウントダウン。デノンが先陣を切って普及価格帯AVアンプに採用を決めたイマーシブサラウンド規格「Auro-3D」や、復活の足音を高らかに鳴らすシャープの8Kに対する取り組みなどがランクインした。より素晴らしい体験を追求し、日夜研究や開発、創作を続ける様々なものに対して、麻倉怜士氏はその奥まで観察を尽くし、時には叱咤激励、時には賞賛の言葉を贈る。中でも特に感動したニュースの一部を、ここで披露してもらおう。

番外編:ビコム「彩ニッポン」

麻倉氏:年末企画「デジタルトップテン」、第6位の前に番外編その2を。ビコムの新作高画質ソフト「彩(いろどり)ニッポン」、高画質・高音質に徹底的にこだわることで知られているビコムから、今年も選出です。Ultra HD Blu-ray(以下、UHD BD)の先陣を切って発売された、南国シリーズ「宮古島 〜癒やしのビーチ〜」は今や押しも押されもせぬリファレンスとなり、世界中で絵作りや画質評価に活用されています。

麻倉氏:ビコムは、鉄道などの通常のラインとは違う体制で年に1作、山下社長をはじめとしたエンジニア達がホンキの絵作りで取り組んでいることで、ビジュアル業界では知られています。これまでは宮古島や西表島などの南国シリーズでしたが、今回は「4K HDR日本紀行」と銘打ち、美瑛の丘、青森のねぷた祭り、そして沖縄と、日本全国を巡ってHDRで撮り歩きました。例えば美瑛の空の青さや、太陽の輪郭が見えることなど、本当によく出来ています。

――元々ビコム制作陣のフットワークはとっても軽く、鉄道でも自動車でも風景でも、日本中を撮りまわっていますね

麻倉氏:前回の宮古島もHDR撮影でしたが、あの時はまだHDRが世に出た直後で、ノウハウが確立していませんでした。今回は経験も蓄積し、ビコムなりのHDR表現を出しています。ビコムのHDRは色が芳醇に出てコントラストが良い、というだけでなく、結構過激なところがあるんです。「宮古島」も日の出でHDRの太陽は映りましたが、あちらは単に明るいだけで階調がありませんでした。それが今回は太陽を見てもちゃんと輪郭が出ています。

高画質映像の最先端を追求し続けるビコムの新作「彩ニッポン」。従来の南国映像に加えて、北海道・美瑛の丘、青森・ねぷた祭りに挑んだ

麻倉氏:何度もHDR撮影をしてきて、高画質におけるHDRの使い方が大分身についていると感じます。絵の透明感、清々しさ、色の階調性、情報の多さ。美瑛の丘では緑の中にも様々な色があり、そこに花や空、白い雲などの色が乗っています。その様はまるで、ED betaの名作高画質デモソフト「四季の丘」の、30年ぶりの再来です。あちらは当時の感覚で見ても「とても繊細だったなぁ」と思っていましたが、30年後のこのソフトは、それに加えて色の華麗さ、そして何より空気の透明感が良いなと感じます。

 それから青森のねぷた、この題材はとてもHDR向きです。丸さを持った光源に模様が付いていて、なおかつ手前の観客席が暗い。こういった階調的なところも優れた描写をしていて「さすがビコムのこだわりは違うな」と感じさせる絵に仕上がっています。

 今回の作品では、特に“色の芳醇さ”に焦点を当てています。4K HDRで観た時の色の良さ、色の情報の多さには、ここまでのものが詰まっている。そんな眼を見張るような映像美です。さすがビコムは違うなと、つくづく実感させられました。発売直後ですが、一足お先にご紹介します。

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