スマホでライブを持ち歩く!? 国内初の「DTS HEADPHONE:X」対応ミュージックビデオ配信がスタート
米DTSの「DTS HEADPHONE:X」技術を用いた国内初の動画配信サービス「Music Live」が始まった。その内容と今後の展開について、運営会社に話を聞いた。
米DTSの「DTS HEADPHONE:X」技術を用いた国内初の動画配信サービス「Music Live」が始まった。iPhoneやAndroidスマートフォンと対応ヘッドフォンがあれば、臨場感あふれるサラウンド音声付きのビデオクリップを楽しめるユニークなサービスだ。
「DTS HEADPHONE:X」は、米DTSが昨年の「2013 International CES」で発表したヘッドフォン向けの音響技術だ。通常、ヘッドフォンやイヤフォンで音楽を聴くと音像は頭の中に定位するものだが(脳内定位)、DTS HEADPHONE:Xではいくつものスピーカーが周囲を取り巻いているように感じられる。(→関連記事)最大11.1ch相当のサラウンド表現が可能だ。
サービスを手がけるのは、プロモーション/コミュニケーション事業を手がけるモリックと、音楽番組を企画制作するプロデュース アンド ディレクション。DTS HEADPHONE:Xでは、専用エンコードされたコンテンツを専用のデコーダーで再生しなければならないが、今回はデコーダー機能を持つ専用アプリ「Music Live powered by DTS headphone:X」を無償配布し、アプリ内で楽曲の購入から管理、再生までを行えるようにした。
モリックの廣瀬忠雄社長は、「これまで臨場感のあるコンサート映像を観たいと思えば、DVD/BDと本格的なホームシアターシステムが必要だった。しかしDTS HEADPHONE:Xならスマートフォンにヘッドフォンを繋ぐだけ。今まで体験したことのないサラウンドが楽しめる」と話す。
当初はJ-POPのコンサート映像がメインだが、今後は1980〜90年代洋楽など幅広いコンテンツをそろえる。動画は640×360ピクセル(H.264)、音声データ量は256kbps。サンプリング周波数はCDを上回る48kHzとなっている。価格は1曲平均400円前後になる見込み(実際の価格は曲によって異なる)。課金はApp StoreやGoogle Playのシステムを利用できる(App内課金)。
スタート時の楽曲ラインアップはわずかに12曲だが、廣瀬氏によると7月末までに70〜80曲、8月に200曲前後、9月には500曲と倍々ペースで増えていく見込みだという。「基本的にはDVDやBDで既に販売されているライブ盤をチャプター単位で切り出し、DTS HEADPHONE:X化して配信する形だ。新規制作ではないため、契約さえ済めば増加ペースは速い」。既に9社のコンテンツホルダーと契約を交わしているという。
現在の目標は、年末までに3000クリップ。また来年はDTSサラウンドミックス対応のスタジオが増えるため、さらにペースアップ。「2015年度には海外アーディストも含め、8万クリップの配信を予定している。その中には、1980年代から90年代の懐かしい洋楽も入れていきたいと考えている」(廣瀬氏)。
同社では現在、DTS HEADPHONE:X対応ヘッドフォン(RP-HX750、RP-HX550、RP-HX350の3機種)を販売しているパナソニックと共同で店頭プロモーションを展開中だ。もともとDTS HEADPHONE:Xは“ヘッドフォンを選ばない”ことも特徴の1つだったが、廣瀬氏によると「もともとヘッドフォンの平均的な特性で開発された技術だが、実際にビジネスを行うとなると、現在のように製品ごとにヘッドフォンの特性が異なるのは問題になる。(DTS HEADPHONE:Xに)特性を合わせ込んだヘッドフォンが必要だ」と説明している。なお、今後パナソニック以外のメーカーから対応ヘッドフォンが登場しても問題なく対応できるという。
「Music Live powered by DTS Headphone:X」の対応OSは、iOS 7.0/7.1、Android 4.1/4.2/4.3/4.4。対象端末はiPhone 4S/5/5C/5S、Android端末は「Xperia」および「Garaxy」で動作確認済み(2014年6月30日現在)。
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