今、何ができる? 「東京モーターショー2017」で見たコネクテッドカーの最先端(4/4 ページ)
いわゆるコネクテッドカーは今、何につながり、どんなことができるのか。東京ビッグサイトで開催された東京モーターショー2017のイベント会場を取材した。
リビングから車を動かせるAIアシスタントサービス
三菱自動車がグーグルの「Googleアシスタント」、アマゾンの「アレクサ」に代表されるAIアシスタントに対応するコネクテッドカー向けのサービスを2018年に北米市場向けに投入するため準備を進めている。東京モーターショーではそのコンセプトが展示されていた。
「MITSUBISHI CONNECT」と名付けられたサービスは、従来のテレマティクスサービスとはまた趣が少し変わっており、家のリビングからスマホやスマートスピーカーに搭載されているAIアシスタントを活用してコネクテッドカーを操作することを目的としているのが特徴だ。現時点ではドアの開閉、ヘッドライトの点灯、15〜29度までのエアコンの温度設定、そしてエンジンの点火などが「できること」とされている。
ブースでは実際の車両を使わずにコンセプトの部分のみだが、新しいサービスのデモを見ることができた。Googleアシスタントに話しかけると、スピーカーが「何かお手伝いできることはありますか?」と聞いてくるので、「エアコンの温度を25度に設定して」と音声でコマンドを伝えると車のエアコンが起動するという具合だ。三菱自動車では同サービスに対応するモデルやサービスの導入時期について、12月1日に米国ロサンゼルスで開催される「2017 LA AUTO SHOW」で詳細を発表する予定だ。
同サービスの日本市場への投入はあるのだろうか。三菱のスタッフに訊ねたところ、まだ検討段階で具体的なことは何も決まっていないという。北米展開が積極的に見える一方で、日本市場への取り組みについては若干トーンダウンしているようにも聞こえてしまう。最大の理由はテレマティクスサービスが10年以上前から広く普及していて、既に多くのユーザーに馴染んでいる北米市場に対して、日本国内ではまだ未成熟であると判断しているからだという。プラットフォームを整えたところで、毎月コネクテッドカーのためにかかる通信料金をオーナーに対してどう負担に感じさせないよう設定を作り込むかなど、全体の採算性のバランスを検討する段階でいくつかのハードルが立ちふさがっているようだ。
コネクテッドカーの普及については、2019年後半から商用化が始まるといわれている次世代高速通信「5G」が順調なスタートを切れるのかという点にもかかっているが、「クルマと人」の関係にもより着目する必要があるのかもしれない。例えば東京のような大都市に暮らす生活者にとっては、マイカーを持つことにより生まれる負担を軽減できるカーシェアやレンタカーのサービスを利用することのメリットがより大きな関心事となりつつある。駐車場の不足、あるいは慢性的な交通渋滞を解消するためのインフラと直結したコネクテッドカー、そしてスマートシティのテクノロジーについても別の機会にまた取材する必要を筆者も実感している。
都市生活者と地方生活者、日本と海外の車文化とそれぞれの「違い」にフィットしたコネクテッドカー向けのソリューションは、SDLコンソーシアムが取り組む「オープンな方向」に発展させていくことで生まれてくるものもあれば、よりニッチなものも含めた個別のニーズに合わせて進化していくこともあるだろう。そういった観点で見れば、今後はコネクテッドカー周辺のスタートアップの取り組みにも注目してみたいと思う。
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