東北自動車道と接続するつくばJCTから阿見東ICまでの13.5キロメートルは、2003〜2007年にかけて開通した区間だ。現在のところ茨城県内で開通している圏央道はこの区間のみだが、「阿見東IC−稲敷IC」の約6キロメートルが、2008年度中に開通する予定となっている。
この先は、県境を越えて千葉県成田市に入り、大栄JCT(仮称)で東関東自動車道に接続する。この「稲敷IC−大栄JCT」(約20キロメートル)は、2012年開通に向けて用地取得と工事が進められている。2007年度当初での用地取得の進ちょく率は77%となっており、国土交通省が定めたロードマップ通りに進んでいる。
圏央道の中でも大栄JCTは最重要ポイントの1つだ。それは日本の玄関口である成田国際空港の間近に位置してるからだ。国土交通省の試算によると、つくば市から成田国際空港までは、現在一般道を利用すると約100分かかる。圏央道が開通すると、これが半分の約50分にまで短縮できるというのだ。この効果は大きいだろう。
大栄JCTから先は、現時点ではまったく手をつけていない状態だ。大栄JCTから千葉東金道路の松尾横芝ICまでの予定区間(約18.5キロメートル)は、国土交通省の最新資料でもただ「事業中」とだけされており、具体的なスケジュールは記されていない。
2003年12月に計画概要が発表され、2004年3月に周辺住民に向けた都市計画説明会が開催された。その後、環境への影響を測定する環境アセスメントなど、さまざまな手続きが慎重に進められ、2008年1月に都市計画決定が行われた。これによって数年以内に具体的なスケジュールが定まることになる。
この先、松尾横芝ICから東金ICまでの区間は、千葉東金道路として開通済みだ。しかし、東金ICから先は再び未開通の区間。茂原北IC(仮称)、茂原長南IC(仮称)、市原南IC(仮称)を経て、木更津東ICへと接続する予定だ。この約43キロメートルの区間は、2009〜2010年にかけて開通する予定になっている。
そして木更津東ICから約7キロメートルの道程を経て、圏央道の終点、東関東自動車道と接続する木更津JCTへと至る。この区間は2007年3月に開通している。
以上で圏央道の今後の開通スケジュールをざっと見たことになる。圏央道はすべて開通すれば総延長距離が約300キロメートルにもなる。さらに首都高速道路湾岸線や東京湾アクアラインを合わせると、東京をぐるりと取り囲む巨大なリングとなるため、首都圏近郊の自動車の流れは大きく変わるだろう。
しかし、完全な環が完成するまでの具体的なスケジュールは、まだ見えていない状況だ。圏央道はすべての構想が実現すれば、首都圏だけでなく本州全土のクルマの流れを一新する可能性もあるプロジェクトだ。しかし現在、経済および政治状況がさまざまに変化しており、今後は異なる方向にも向かいかねない。21世紀の首都圏の道路事情はいったいどのように変わっていくのか注目していきたい。
→どうなる、こうなる首都圏の道路網――(1)都心を囲む3つの環
→どうなる、こうなる首都圏の道路網――(2)首都高・中央環状線編
→どうなる、こうなる首都圏の道路網――(3)東京外かく環状道路編
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