就職戦線は“氷河期”に? 学生は「大手志向」から「実利志向」へ

» 2009年02月10日 08時27分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 日増しに景況感が悪化する中、2010年度新卒採用が本格化するが、企業の人事担当者はどのような学生を求めているのだろうか。学生を見るとき注意する点を聞いたところ「話し方」が最も多く38.2%、次いで「表情」(23.2%)、「立ち居振る舞い」(18.2%)、「身なり」(16.6%)であることが、楽天リサーチの調査で分かった。

 逆に「髪型」「声の大きさ」「服装」などを重視している人事担当者はいずれも1%未満。「さまざまな項目を重視しつつも、見た目だけではなかなか分からない面をより重視しているようだ」(楽天リサーチ)

 2010年度の新卒採用人数に聞いたところ、「昨年(2009年度)に比べ採用人数は横ばい予定」(41.2%)、「減らす予定」(26.8%)、「増やす予定」(10.0%)、「採用しない予定」(5.6%)だった。業種別に見ると、減らす予定と回答した割合が高かったのは「複合サービス事業」(45.5%)、「金融・保険業」(37.9%)、「卸売・小売業」(36.8%)、横ばいでは「公務」(63.3%)、「医療・福祉」(55.6%)という結果に。

2010年度の新卒採用意向(出典:楽天リサーチ)

 インターネットによる調査で、20代〜60代の人事担当者500人が回答した。調査期間は1月26日から1月27日まで。

学生は安定志向より、まずは就職先の確保

 昨年(2009年度)と今年(2010年度)との比較で、就職活動する学生の行動に変化はあるのだろうか。最も多かったのは「就職活動に不安を感じる学生が増えた」で38.5%、このほか「エントリー数が増えた」(29.0%)、「説明会などイベントの参加者が増えた」(27.9%)、「電話・ネット・メールなどでの問い合わせ回数が増えた」(22.3%)などの回答が目立った。「世界的な金融危機による経済不安の中で、経済の先行きや雇用への不安から、昨年より慎重に就職活動を行っている学生の姿が見える」(同)

就職活動を行なう学生の行動変化(出典:楽天リサーチ)

 ただ景気悪化などの影響で、学生の安定志向化が進むようにも思われるが、「大手志向が強くなった」(13.1%)、「終身雇用を意識する人が増えた」(12.1%)と、回答した人は1割ほどにとどまった。「人事担当者には安定志向が強まったというより、まずは就職先を確保しておきたいという学生の焦燥感を感じ取っているようだ」(同)

 また学生が就職先の条件として重視している点について、人事担当者に聞いたところ「自分がやりたい仕事に就けるかどうか」(昨年53.3%、今年35.9%)、「仕事のやりがいがあること」(同42.8%、同34.9%)など、“やりたい仕事”と“やりがい”については減少傾向に。逆に「長期雇用が期待できること」(同14.4%、同34.4%)、「業績がいいこと」(同11.5%、同25.4%)は昨年に比べ20ポイント以上伸ばしており、「(今年の学生は)自己中心的な想いだけではなく、外的環境を意識していると感じ取っているようだ」(同)

 2010年度の就職戦線について聞いたところ、「氷河期」と回答した人が最も多く48.7%、次いで「どちらでもない」(30.5%)、「超氷河期」(16.9%)、「まだ売り手市場」(3.6%)、「かなり売り手市場」(0.3%)と続いた。「氷河期」と「超氷河期」を合わせると65.6%に達するなど、ここ数年の「売り手市場」はすでに過去のものであることが明らかになった。

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