コンビニがほかの小売業とは違う理由――数字で見る3つの特徴(2/2 ページ)

» 2009年05月15日 07時00分 公開
[笠井清志,INSIGHT NOW!]
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店内での平均滞在時間は5分以内が80%

 コンビニに入り、商品を選んでレジに行き、商品精算をする。この一連の買い物行動の平均時間が5分以内である人が何と80%もいます。コンビニに入る前から買う商品を決めており、一直線に欲しい商品がある場所まで行き、商品を手に取ってレジに並びお金を払って出て行ってしまうのです。一般的なスーパーでの滞在時間が約20分であることを考えると、いかに短いかがご理解いただけるのでないでしょうか。

 この滞在時間は、時間によって変化します。一番短いのが朝。出勤前にコンビニに寄る場合は、急いでいるため滞在時間がますます短くなります。正確なデータはありませんが、私の肌感覚では約3分くらいではないでしょうか。コンビニに入ったお客さまが店内で「何を買おうかな?」と悩んでいる様子はほとんど見たことがありません。

 次に短いのが昼。サラリーマンやOLは昼休み時間が決まっています。45〜60分ほどの昼休みを最大限に活用しようと考えると、ランチを選ぶために時間をかけてはいられない。「弁当とお茶」といった動きをするお客さまが大半です。

 滞在時間が最長なのは夜。仕事帰りのサラリーマンやOLは雑誌を立ち読みするほか、ビールを選び、趣味のフィギュア商品を眺め、お菓子を選び、夕食やデザートなどを購入していきます。私の実体験として、店内をブラブラしていたある男性客の店内滞在時間は約1時間であったことを記憶しています。丁寧に雑誌を立ち読みし、フィギュア商品を真剣に選び出しているお客さまでした。

 余談ですが、店内滞在時間の違いは客単価にも反映されます。滞在時間が長くなればなるほど、客単価は向上していくものです。

驚異の坪当たり売上高(生産性)

 小売業の生産性を測る指標として「1坪あたり売上高」があります。商業統計(2007年)から抜粋すると、下記の通りです。

各小売業態の1坪あたり売上高(出典:2007年商業統計)

 コンビニは、小売業として最高の1坪あたり売上高を誇っています。一般的に店舗面積が大きくなれば、「家賃」「光熱費」「建設費」などの経費がかかってくるものです。小さな店舗で多くの売り上げ(高生産性)であることがコンビニ業態のすごさなのです。

 冒頭に示したように、コンビニの歴史はお客さまニーズへの変化対応の歴史です。「コンビニの近くに住んでいるお客さまにとって便利な店になろう」と努力を続けてきた結果が、このようなビジネスモデルとなり成長を続けてきたのでしょう(笠井清志)

 →笠井清志氏記事バックナンバー

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