大事なのはコンテンツの魅力、紙かWebかではない――「LUXURY TV」岸田一郎氏に聞く(2/2 ページ)

» 2009年07月17日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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Webにはまだ圧倒的に面白いコンテンツが足りない

――とはいえ、Web媒体は基本的に「無料で読むもの」であるだけに、読者が雑誌代として支払うお金に頼れないこともあって、マネタイズが難しいですよね。

岸田 でも、今Webで読めるものって、ニュースがほとんどでしょう。圧倒的に面白いコンテンツを提供できるなら、Web媒体でも有料化は可能だと思う。例えば、人気作家が小説を書きました。でもWebでしか出しません、本は刷りません、ということになったら、皆お金を払うんじゃないか。

 現実に、読者からお金をいただかなくても、広告費だけでやっていけると考えている。僕が手がけた雑誌の例では――これは極端な例ではあるけれど――1号で、広告収入が5億円、販売収入は2500万円ということがあった。また、紙に印刷して雑誌を作ることを考えたら、サーバ代がかかるとはいったって、コスト効率は1ケタ違うくらい(Web媒体のほうが安い)だろう。

――Webの場合、バナー広告中心に収入を得ようとすると、雑誌や新聞の広告費に比べて、単価が非常に安いという問題もあります。

岸田 ちょっと前までは、雑誌の見開き広告(の効果)のほうが(Webのバナー)静止画よりも勝ちじゃない、ということがあったが、これが絵が動き出す、動画になると話が変わってくる。圧倒的に動画の勝ちですからね。

「モテ」のキーワードは封印

――LUXURY TVについて聞かせてください。このサイトのコンセプトは何でしょう。

岸田 「次なるラグジュアリーライフをリコメンドする」かな。今のところは男性向けとして作っているけど、いずれ女性向けもやっていきたい。まだ具体的には言えないけど、早期に携帯対応もする予定。

――ターゲットとする読者層は。

岸田 好奇心旺盛な人、魅力的になりたい人に観てもらいたい。自分を磨きたい人に観てほしいですね。

――魅力的……「ちょいワル」や「モテ」じゃないんですか?

岸田 もう「モテる」は言いませんよ(笑)。富裕層に絞り込んでいたKISHIDA DAYSよりも読者の幅を広くとっていますし。競合もないですしね。

 「LEON」を作ったころは、男性誌の競合がいっぱいあった。競合がないんだったら、あんな手はとらない。もっと正攻法でいきますよ。ぼくは資金が豊富にある大出版社にいたわけじゃないから、ゲリラでやるしか、とがってやっていくしかなかった。そのために「モテ」というキーワードを考えた。

 でも今度は違う。まだ本格的なメディアがないんだから。広告市場として、Web動画には可能性がある。まだWebには本格的な(ファッション)メディアがないが、これから競合はだんだん増えていくだろう。

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