トヨタの新ハイブリッドカー「SAI」って、どんなクルマ?東京モーターショー2009

» 2009年10月23日 11時50分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 トヨタ自動車が10月20日に発表した新型車「SAI」が東京モーターショーに登場。トヨタブースで展示されている。

 SAIは、「プリウス」、レクサスブランド「HS250h」に続く、トヨタの3つ目のハイブリッド専用車種だ。SAIという名前は性能の高さを示す「才」、上質感を示す「彩」に由来している。「SAIのコンセプトは“小さな高級車”。高級車らしい走りと、上質な乗り心地を兼ね備え、取り回しのしやすいセダンです。さらに先進的な安全装備も搭載しています」(説明員)

トヨタのハイブリッドカー「SAI」。価格は338万〜426万円で、プリウスとHS250hの中間にあたる価格設定

プリウスよりも大排気量のエンジンで、ヴィッツ並の燃費

 3代目プリウスが1.8リットルアトキンソンサイクルエンジンを搭載しているのに対し、SAIは2.4リットルアトキンソンサイクルエンジンを採用。ハイブリッド機構は同じリダクション機能付きのTHS(TOYOTA Hybrid System)IIを搭載している。10・15モードでの燃費性能は、プリウスの38.0km/リットルには及ばないが、同クラスのセダンに比べ約2倍、同社のコンパクトカー「ヴィッツ」をしのぐ23.0km/リットルを実現している。

 全長4605ミリとプリウス(4445ミリ)より大きいが、最小回転半径5.2メートルはプリウスと同じ※で、「取り回しの良さを重視した」(説明員)という。また、植物資源が原料のエコプラスチックを室内表面積の約60%に採用するなど、環境負荷低減への取り組みを徹底した。

※16インチタイヤ装着の場合。なおプリウスG“ツーリングセレクション・レザーパッケージ”は5.5メートル

追突の危険性を感知、被害を最小限に抑える仕組み

 SAIのもう1つの大きなポイントが、先進的な安全装備だ。

 会場に展示されているSAIには、前方・後方の両方にプリクラッシュセーフティシステムが搭載されている。これは、ミリ波レーダーを発してその反射で前方車両・後続車両との距離を測り、走行中に衝突の可能性を予知するものだ。

 例えば前方のプリクラッシュセーフティシステムでは、前方車両との距離が急速に縮まって衝突の可能性が高くなると、自動でブレーキをかけて走行速度を落とし、シートベルトを強く巻き上げて、衝突時の被害をできるだけ小さく押さえようとする。

 後方のプリクラッシュセーフティシステム※では、後続車の距離が縮まったことを検知すると、ハザードランプを自動点灯させ、後続車ドライバーの注意を喚起する。追突の可能性が高いと判断するとヘッドレストが適切な位置に移動し、乗員のむち打ち傷害の軽減を図る。

※G“ASパッケージ”のみ選択可能
前方のプリクラッシュセーフティシステムはトヨタマークの奥(左)。後方のプリクラッシュセーフティシステムは、レーダー波の方向をミラーとネジで自動調整するようになっている(右)

 SAIの発売は12月7日だが、すでに予約受注を始めている。トヨタとしては、エコカー補助金の期限が2010年3月末に迫っていることを踏まえ(参照記事)、今年度中にハイブリッドカーを買いたいと考えている層を広く取り込みたい考えだ。

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