パーク&ライドサービスは、主に郊外から都市部への移動ニーズをクルマから公共交通に置き換える目的で発達してきた。しかし、パーク24の事例の中では、都市近郊における“道路交通の弱点”を補うタイプのパーク&ライド活用も始まっている。その一例が、多摩都市モノレールとの連携だ。
「多摩都市モノレールは東京西部を南北に結んでいます。この地域の道路網は(東京中心部に向かう)東西の幹線道路は整備されているのですが、南北を結ぶ道路の容量が少ない。ですから、クルマだと南北の移動が渋滞になりやすいのですね。
そこで我々は多摩都市モノレールとの連携において、(東京西部で)商業的に発展している立川駅の手前の高幡不動駅前と万願寺駅前にパーク&ライド対応の駐車場を設置。渋滞しがちな南北のクルマ移動のニーズを、パーク&ライドで多摩都市モノレールに誘導するようにしました。結果として、この取り組みは成功していまして、利用率は伸びてきています」(岩渕氏)
都市近郊は大都市中心部に向かう基幹交通網は充実しているが、周辺同士を結びつける交通網の整備が遅れているケースが多い。こうした都市近郊交通の弱点を補うためにモノレールや新交通システムの活用が注目されているが、それらとのパーク&ライドサービスの連携は、交通の有機的な結びつきや効率化を図る上でとても有効と言えそうだ。
のべ利用者数10万人を突破し、日本でも根づきはじめたパーク&ライド。その牽引役でもあるパーク24では、今後どのような取り組みを考えているのだろうか。
「まず、1年以上パーク&ライドに取り組んできて実感したのが、この仕組みを実現するには(交通ICカード連携をする)駐車場システムを開発するだけでなく、運用のノウハウが必要ということです。とりわけ重要なのが専門のコールセンターの存在で、これをきちんと用意できないと、鉄道会社との連携は難しい。パーク24ではいち早く駐車場のオンライン化を行っただけでなく、コールセンター設置によるサポート体制の充実にも注力したので、それがパーク&ライドサービスの実現と展開に大きく役立ちました。
来年以降の目標としては、パーク&ライド対応駐車場を一気に広げていきたい。現在は約50カ所ですが、今後は鉄道会社との連携をさらに広げて、(来年は)3ケタの駐車場でこのサービスを拡大したい。それには駅周辺駐車場の整備が必須になりますので、そこに力を入れたいですね」(岩渕氏)
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