コラム
» 2010年12月07日 08時00分 公開

新卒採用の適性検査、やっている意味はありますか? (2/2)

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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適性検査はもっと手軽で、それぞれの会社に特化したものに

 財務諸表だけ見て会社を買う投資家がいないように、適性検査だけで採用する会社はありませんし、その時の財務諸表に見える良い点・問題点がその後の経営によって変わるように、その時点の適性検査の結果とその後のマネジメント・人事管理の重要性は比べようもありません。それ以前に、見た目や雰囲気、コミュニケーションの力といった仕事の成果に大きく影響する要素が分からないのに、仕事への適性をうんぬんしようというわけですから、もともとかなりの限界があることは、検査の開発に取り組む専門家さえ自覚しているであろう自明のことでしょう。

 ある理論に基づいて作った検査を実施し、その被験者の現実の行動特性や性格、パフォーマンスなどを調査した結果、その関連性が認められたという調査・論文は多くあるようですが、それは当たり前の話。人の性格や特性を構成する要素・因子を定め、これらを分解して設問にして選択させれば、精度の差はあれ普通はそういう結果になるでしょう。

 大切なことは、その人たちが、その後どのような環境に置かれてもそうかというと、そうではないということです。その後の活躍度合いや働きぶりは、職場の環境やマネジメント次第だとすると検査にはどのような意味があるのか。いや、採用だけに限って言っても、「適性検査が普及し、昔よりも新卒採用の精度が良くなっている」「適性検査をやっている会社とそうでない会社は採用の質が違う」という話が、どのくらいあるのでしょうか。

 現状の新卒採用・新卒の就職における本質的な問題の解決策ではありませんが、適性検査はまず、かかる時間や設問数などもっと手軽なものにすべきです。そうすると専門家は「信頼性・妥当性が保てない」と言うでしょうが、それはほとんどの人事担当者・学生にとって大したことではありません。

 次に適性検査は、分野特化型もしくは多様な選択(カスタマイズ)が可能な商品が多くなければなりません。独自の採用基準を持って大切にしたいポイントをそれぞれの会社が明確にし、意思を持って検査商品を選ぶという採用でありたいものです。

 いずれにしても、目の前にいる学生を見て、話を耳で聞いて、全身で感じとって、そしてその学生の人生や会社の将来を左右するような責任感をもって決断をするのが採用というものであり、採用に携わる人達には、適性検査の結果がどうしたというくらいの気概を期待したいと思うのです。(川口雅裕)

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