国道6号をさらに南下すると、「福島第一原子力発電所」と記した看板がある。そのT字路を左折すれば、もう正門前に着く。20キロ圏内入り口からここまでの間、緊張感が漂うも、とくに警察官に制止されることはなかった。そのためあっと言う間に、正門の前に到着してしまった。
「取材できないか」と交渉したが、追い払われてしまった。周囲には桜が咲いていた。周辺を走ってみたけれど、原発の全体像は見えなかった。しかし、第一原発の5号機と思われる建屋の外観を見ることができた。
東日本大震災は地震だけでなく、甚大な津波被害をももたらした。津波による被害の中でも、最大のものが原発事故だ。原発はこれまで、私たちに便利さと豊かさをもたらしてきた。しかしその一方で、一度事故が起きたら、いくつもの街がなくなってしまうことを私たちは思い知らされた。
これから先、事故処理がきちんと行われなければならないし、避難住民の補償も考えていかなければならない。しかし、原発事故から得られる教訓とはいったい何なのだろうか。「原子力行政は安全第一にすべき」なのか、「リスクを最小化するためには原発の廃止」なのか。
私たちに問われているものを、もう一度考えたい。
1969年、栃木県生まれ。フリーライター、ノンフィクション作家。主な取材領域は、生きづらさ、自傷、自殺、援助交際、家出、インターネット・コミュニケーション、少年事件、ネット犯罪など。メール( hampen1017@gmail.com )を通じての相談も受け付けている。
著書に『自殺を防ぐためのいくつかの手がかり』(河出書房新社)、『実録・闇サイト事件簿』(幻冬舎)、『解決!学校クレーム』(河出書房新社)、『学校裏サイト 進化するネットいじめ』(晋遊舎)、『明日、自殺しませんか?』(幻冬舎)、『若者たちはなぜ自殺するのか?』(長崎出版)など。メールマガジン 「悩み、もがき。それでも...」を刊行中。
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